第5回 発達障害の子どもの保護者と上手に連携する方法

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落ち着きがない、お友達とトラブルばかり起こす、言葉がなかなか出てこない、など「もしかして発達障害かも」と感じるお子さんとどのように接したら良いのか、どんぐり発達クリニック院長の宮尾益知先生にうかがう5回シリーズ。
第5回となる今回は「発達障害の子どもの保護者と上手に連携する方法」についてご紹介します。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
宮尾益知(みやお・ますとも)先生

医療法人社団益友会 どんぐり発達クリニック理事長。ギフテッド研究所理事長。徳島大学医学部卒業後、東京大学医学部小児科、ハーバード大学神経科研究員、独立行政法人国立成育医療センターこころの診療部発達心理科医長などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。発達障害の分野での第一人者であり、関連著書も多数。近著は「子どものADHD早く気づいて親子がラクになる本」「ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 女性の発達障害: 女性の悩みと問題行動をサポートする本」(河出書房新社)など。
医療法人社団益友会 どんぐり発達クリニック
オーク発達アカデミー

もしかして発達障害かも、、、子どもの保護者に気づいてもらうには?

子どもの発達障害の特性に気づいたら、遅くとも4~5歳までに専門の医療期間で受診させるのがベストです。
診療で問題がなければ安心できますし、問題があっても入学前に集団生活への適応や学習に必要な基礎的能力について、心理カウンセリングやさまざまな療法で、ある程度の対応が可能となります。

しかし、保育士さんが「もしかして発達障害かもしれない」と思うお子さんについて、保護者がそれに気づいていない場合、どのように伝えようか悩んでしまいますね。
この場合、憶測で「発達障害では、、、」などと伝えると、保護者が傷ついたり、トラブルになってしまう可能性もあります。また受診するかどうかを決めるのは、あくまで保護者だということも忘れないでください。
その上で、保育士さんが気になっていることと、それに対して園ではどのように対処しているか、保護者に事実を伝えるのがいいと思います。

たとえば、
「□□くんは、言葉で話してもわかりにくいようなので、絵のついたカードを見せて説明しています。そうするとよくわかるみたいですね」
といった具合です。逆に、その子とのコミュニケーションについて、保育士さんが保護者に相談してみるのもいいですね。
たとえば、
「□□さんは、物音に敏感でパニックになることがありますね。ご家庭ではどのように工夫していらっしゃいますか?」
というふうにです。

いずれにせよ、保育士さんは、「もっとその子が生活しやすいように保護者と連携していきたい」という姿勢をとることが大切です。
そのうちに保護者も子どもの様子が気になりだし、インターネットで検索するなどして受診に行く、というケースも多いのです。

家庭で取り組んでいる治療法を、園でも取り入れるべき?

保護者から受診、診断の話を聞いたら、家庭や治療でどのようなことを意識しているのかをヒアリングし、保育園で実践可能なことはしてあげるといいでしょう。
第3回第4回でご紹介した内容も参考にしながら、家庭と連携をとってやっていきましょう。

ただし、家庭での治療とまったく同じことを園でやる必要はありません。
保育園や幼稚園は「構造化」といって、何かをする場所や時刻、時間の長さ、順番などが、家庭と比べてきちんと決まっています。
発達障害のお子さんは、構造化された園で生活することで、自然と症状が軽くなるケースも少なくないのです。

お友達と一緒に遊ばせるなら、その子をみんなのところに連れて行って「『入れて』って言おうね」などとルールを教えてあげます。発達障害の子どもは予習すると理解しやすいケースが多いのです。
子どもはつねに発達を続ける存在で、発達障害の子もそれは同様です。幼い子には発達を促す働きかけが必要ですが、そうした対応で発達障害の特性が完全になくなるわけではありません。
小さな目標を達成することを積み重ねるうちに、社会に適応する力がついていきます。保育士さんはぜひ、その一端を担ってあげてください。

また子どもがある程度の年齢になったら、特性をほかの能力でカバーする方法も考えてあげるといいでしょう。
保育士さんは、発達障害の知識がほとんどないまま保育の最前線に立つことになり、対処に悩むことも多いかもしれません。発達障害についてよりくわしく調べたいなら、経験者を訪ねたり、支援団体に相談する方法もあります。

支援団体のご紹介

家族会・支援団体

公的支援機関

  • 発達障害支援センター:各都道府県にあり、発達障害のある子どもと大人の相談を受け、支援する機関。基本的に医師はいない。
  • 発達障害教育情報センター :特別支援教育総合研究所内に設置されている情報提供機関(個別の相談は行っていない)
  • 療育センター:治療教育(療育)を行う。医師がいる場合が多い。
  • 保健センターや保健所:心身の健康全般に対応。医師や保健師がいて発達障害の相談も受け付ける。
  • 児童相談所:子どもの悩み全般を受け付ける。
  • 市町村の担当窓口 :発達障害専門の窓口はない場合も多いが、子育て、福祉、地域医療などの窓口をたずねるとよい。

※発達障害関連の情報の集まり方は地域で異なり、ケースごとに適している機関は一概にはいえません。まずは各市町村の担当窓口に問い合わせてみてください。

今回でこのシリーズは終了です。ご愛読ありがとうございました。

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