第2回 保育士が保護者と上手にコミュニケーションする方法

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保育士の職場の悩みナンバー1は「人間関係」。上司や同僚、保護者、子どもなど、世代や立場の違うさまざまな人と上手にコミュニケーションをとるには、どうしたらよいのでしょうか。保育・子育てアドバイザーの松原美里先生にお話しをうかがう四回シリーズ、第二回は「保護者と上手にコミュニケーションする方法」をご紹介します。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
松原美里(まつばら・みさと)先生

保育園、児童養護施設で保育に携わる中で、保護者をサポートする必要性を感じ、退職。コーチング、心理学、NLPを学び、2007年よりウメハナリレーションズを設立。保育の視点を子育て支援に生かす講座や監修などを行う。2008年からは保育士向けコミュニケーション講座を主催。2011 年より認定こども園エクレス「エクレス子どもの家保育園」の施設長を兼任。現場での体験をもとに、コミュニケーション・コーチング・システム思考などを織り交ぜた研修を、保育士・施設長向けに行っている。また保育を通じて、地域が子どもに与える影響の大きさを痛感し、地元・網走の魅力を発信する市民活動「LOVEあばしり」を主催。年二回のワールドカフェや、網走と東京をつなぐ流氷ツアーの主催なども行っている。

★8月16日(土)18:00~20:00
「新人さんのための『動ける』&仕事の見通しが立つ保育講座」
★11月5日(土)・12日(土)9:00~16:20
「保育コミュニケーション」
★12月9日(土)18:00~20:00
「離職率を下げ、働きやすい職場を創る人間関係講座」
「ほいくあっぷ」にて、「保育者お悩み相談室」 担当中!
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保護者は保育士よりも、自分のことが気になっている

「保護者と何をしゃべったらいいかわからない」そんなお悩みを抱えている保育士さんも多いと思います。最初はみんなドキドキして当たり前。私も保育士になりたての頃は「もしかしてママたちになめられてない?」「まだ若いし、信頼されていないかも」などと考えながら、恐るおそる保護者の方々と接していました。
でも、仕事を続ける中で気づいたのは「保護者は保育士のことをそんなに気にしていない」ということ。考えてみれば、仕事や育児や家事に忙しい保護者は、自分の生活をするだけで精いっぱいです。基本的に、保育士さんには子どもを預かってもらえるだけでありがたいと思っているはず。ですから保護者と接する時は、子どものことについてスムーズにやりとりできさえすればいいのです。

心の矢印を相手に向ければ、コミュニケーションはうまくいく

コミュニケーションで緊張してしまうのは、心の矢印が自分に向いている時です。すると相手にどう見られているかが気になってしまい「あのお母さん、機嫌が悪そうだけど私が何かした?」「せっかく話しかけたのにそっけなく返されてしまった」などと感じて落ち込んでしまいます。
ですから保護者と接するときは、矢印を保護者や子どもに向けて接してみましょう。自分がどう見られているかではなく、いつもは穏やかな保護者が今日はいらだっている様子だった、何かあったのかもしれない・・・など、相手の様子や気持ちに集中するのです。これがプロとしての姿勢だと思います。
相手に矢印を向けることを意識していくと、堂々とふるまえるようになりますよ。

保護者との会話のネタに困った時は?

朝なら「⚪︎⚪︎ちゃんの体調どうですか?よく寝られました?」と聞いたり、肌荒れや目やになどの変化がみられたら「いつからですか?」と聞いてあげるのもいいでしょう。
帰りの時は、保護者に子どもの様子がイメージできるように、その日のエピソードを話してあげましょう。「今日は⚪︎⚪︎公園に行ったんですよ。⚪︎⚪︎ちゃん、お花を摘んで喜んでいました」など。
対応をしていて少し間に戸惑う時には、気候、服装、食べ物、地域のことなど、会話の引き出しを持っておくといいですね。何気ない会話を続けるうちに、保護者の趣味などもわかってくるので「昨日、野球で⚪︎⚪︎チームが優勝しましたね!」「そうなのよ!」などと会話もはずんでくるでしょう。

クレーマーな保護者に困った時は、、、

そもそもクレームを言ってくる保護者は、困っている人・不器用な人なのです。
「ちょっとどういうことよ! 保育園でなんとかできないの?」というクレームも、言い方を変えれば「先生助けて! どうしたらいいかわからないの。保育園で手伝ってもらえないかしら」となります。
困っているときに、相談することができないのでクレームの形になってしまうんですね。
なぜ相談ができないのかというと、たとえば受験戦争で周りがライバルばかりという環境で育ってきた人や「仕事はできて当然」の社会生活を送っている人は、完璧であらねばならない、弱みを見せてはいけないとどこかで感じているのかもしれません。昔と違って保護者自身の親御さんが近くにいないことも多く、子育てを一人で抱え込んでいる人は多いのです。

クレームを受けないようにするためには?

クレームを避けるには、あらかじめ保護者に「困ったら相談してほしい」と伝えてあげること。保護者会の時などに「私たちは一緒に子育てをしていく仲間ですから、困ったことがあったら言ってくださいね。でも私たちも気が付かないことがありますので、できればやさしい言い方の方がありがたいです」と話すといいでしょう。
すると保護者は、何かあった時に自分が困っているという状態に気づき、相談しようという気持ちになることができます。

保護者から育ててもらう意識をもって

いろいろな保護者の方がいると思いますが、基本的に保護者は子どもを持つ親であり、若い先生にとっては人生の先輩でもあります。実際、仕事に慣れない若い先生のことも見守って育ててくれる保護者は多いものです。保護者=こわいと思わず、一人の人間として、まずは自分から「素敵な方だな」と信頼して笑顔で接してみてはいかがでしょうか。

次回は、第3回「幼児と上手にコミュニケーションする方法」をご紹介します!
5月19日(金)予定です。

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