第3回 幼児と上手にコミュニケーションする方法

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保育士の職場の悩みナンバー1は「人間関係」。上司や同僚、保護者、子どもなど、世代や立場の違うさまざまな人と上手にコミュニケーションをとるには、どうしたらよいのでしょうか。保育・子育てアドバイザーの松原美里先生にお話しをうかがう四回シリーズ、第三回は「幼児と上手にコミュニケーションする方法」をご紹介します。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
松原美里(まつばら・みさと)先生

保育園、児童養護施設で保育に携わる中で、保護者をサポートする必要性を感じ、退職。コーチング、心理学、NLPを学び、2007年よりウメハナリレーションズを設立。保育の視点を子育て支援に生かす講座や監修などを行う。2008年からは保育士向けコミュニケーション講座を主催。2011 年より認定こども園エクレス「エクレス子どもの家保育園」の施設長を兼任。現場での体験をもとに、コミュニケーション・コーチング・システム思考などを織り交ぜた研修を、保育士・施設長向けに行っている。また保育を通じて、地域が子どもに与える影響の大きさを痛感し、地元・網走の魅力を発信する市民活動「LOVEあばしり」を主催。年二回のワールドカフェや、網走と東京をつなぐ流氷ツアーの主催なども行っている。

★8月16日(土)18:00~20:00
「新人さんのための『動ける』&仕事の見通しが立つ保育講座」
★11月5日(土)・12日(土)9:00~16:20
「保育コミュニケーション」
★12月9日(土)18:00~20:00
「離職率を下げ、働きやすい職場を創る人間関係講座」
「ほいくあっぷ」にて、「保育者お悩み相談室」 担当中!
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子どもに嫌われる保育士の理由とは?

自分は子どもに好かれる、と適正を感じて保育士になったものの、実際に園で子どもと長時間接すると「言うことを聞いてもらえない」「大勢をまとめることができない」など子どもとうまくコミュニケーションできないことで悩む方は少なくありません。実際、私のブログの中でも、こうした内容の記事はとても人気です。
実は「嫌われたらどうしよう」と思う人ほど、嫌われてしまうものです。第二回の「保護者と上手にコミュニケーションする方法」でもお話ししましたが、心の矢印が自分に向いていると、自分が相手からどう思われているかを気にして緊張してしまい、うまくコミュニケーションできないものです。それよりも、相手である子どもに矢印を向けて、子どもの様子を見守ったり、気持ちや体調などを考えてあげながら接しましょう。子どもは自分としっかり向き合い、またいいことはいい、いけないことはいけない、とちゃんと教えてくれる大人のことを信頼します。

子供が言うことを聞いてくれないときの対処法

そもそも、子どもは言うことを聞かなくて当たり前。ですが保育士さん自身が、子どものころから親御さんや先生に「言うことを聞きなさい」と言われて育ってきた場合、教え子にも同じようにしなければいけない、と思うのではないでしょうか。
昔は保育の現場もそのような「大人主体」の考え方のところが多かったのですが、いまは世界的な流れで「子ども主体」の保育に変わってきています。そのほうが、生きる力がつくことが、研究からもわかってきました。子どもたちがこれからの世界を生きていくためには、ただ大人の言う通りに行動するのではなく、自分で考え、話し、動けるようになることが大切なのです。ですから保育士さんは、言うことを聞かせるよりも、子どもと一緒に考えて、答えを見つけるようにしてあげるといいですね。
ただし、⚪︎時に片付けなければならない、など集団生活を送る上で必要なルールもあります。この場合は、予告をするなど、子どもの心に寄り添いながら工夫をするといいですよ。片付けの何分か前に「長い針が6になったら片付けるよ」などと声かけをして、子どもに心の準備ができるようにすると、案外すんなりと片付けてくれますよ。

どうしても好きになれない子どもがいる場合は?

保育士になった以上、子どもたちのことは全員平等に愛してあげたい、、、でも保育士さんも人間ですから、好き嫌いはあって当然です。ただ、どうしても好きになれない子どもがいる場合は、もしかしたら自分自身の心が影響しているのかもしれません。たとえば行動が遅い子、すぐに泣く子など、特定の個性がある子が気にさわる場合、もしかしたらその子は自分の子ども時代と似ている、あるいは逆に自分が我慢していたことをすんなりやってのけている、というのが好きになれない理由ではないでしょうか?
自分自身がそういう部分を大人に受け入れてもらえず、叱られながら育ってきた場合「自分は我慢したんだから、この子も我慢するべき」と思ってしまい、子どもにも同じようにしたくなることがあります。本当は、自分がされていやだったことは、反面教師として生かし、いい関わりをしてあげたいものです。けれども、無意識の中での心の作用で「この子も自分と同じようにすべき」といった気持ちが働いてしまうこともあります。

心が辛いなら、自分の子ども時代を癒してあげよう

この場合は、我慢してきた子ども時代の自分を、癒してあげる必要があります。小さな頃の自分に、こう語りかけてはいかがでしょうか。「私も本当は⚪︎⚪︎して欲しかったけど、そうしてもらえなくて、さびしかったんだね。お母さんも時間がなかったのかもしれないね」と。その上で、このようにイメージします。「でもそれは私の話。この子とは関係ないよね。だから自分がして欲しかったように、この子にはしてあげよう」と。こうして自分自身を受け入れ、癒すことを自己受容といいますが、この先の人生を送るうえでも、とても大切なことです。

自分を受け入れることで、保育の仕事はもっと楽しくなる!

自己受容ができていないと、心はなかなか満たされません。仕事についても「みとめられたい」「感謝されたい」という思いがつのり、苦しくなってしまいます。でも保育士さんの仕事は、子どもたちが育ち、親御さんが安心できる保育をすること。それができれば保育士さん自身の心も満足できるはずですよね?
自己受容は生まれてから親御さんや周りの大人に受け入れられることで「自分は大切にされる存在なんだ」と感じられ、できるようになるものですが、親御さんだって人間です。完璧ではないですから、うまく子どもと関われないこともあったかもしれません。
保育士のお仕事をしていると、成長していく子どもたちを目の当たりにするので、自分に足りない部分や課題を見ることも多く、心が痛むこともあるかもしれません。しかしその反面、成長できたときに得られる喜びも深くなります。
大人になって、自己受容ができていない自分に気づいたら、自分の感情をみとめた上で、子ども時代の自分と向き合い、受け入れて新たな人生を送るチャンスです。
簡単なことではありませんが、それがきっと、子どもたちと笑顔で向き合えるようになることにもつながっていくでしょう。

次回は、第4回「乳児と上手にコミュニケーションする方法」をご紹介します!
5月26日(金)予定です。

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