2017.06.14

特集企画

現場からの声。保育士不足に対処する策を間違えていませんか?

少し前、福祉職の資格を持っていれば、保育士として働けるようにしたらいいんじゃないか、という案がありました。
また、幼稚園・小学校・養護教諭であれば保育が出来ると言う案は平成28年4月からスタートしています。
また2014年には子育て経験があれば准保育士として働ける案を協議しています。

どれも保育士不足を緩和する案として出されているのですが、現在働いている保育士からものすごく反対されています。
どこの保育園も人手不足で、現在働いている保育士たちは過剰労働にあえいでいます。
大変なはずの保育士が反対する理由はなんでしょうか。

Profile ゆきせんせい

現役保育士。元は一般事務員だったが、3人の息子が大きくなったのを機に一念発起、資格を取り、保育士として働き始める。毎日、保育園の子どもたちからは元気を一杯もらって、保護者のパパやママたちには子育ての先輩としてエールを送っている。

保育士がそれでも続けている理由

ひとつには、もちろん給料の問題があります。
保育士の給料はほとんど最低賃金の状態ですから、保育士資格のある人と保育士資格のない人の給料にほとんど差が出ないと思われます。
そうすると、大学や専門学校に2~4年学校に通ってとった国家資格である「保育士資格」の価値が今以上に下がるということを懸念しています。

もうひとつは、人が不足している、忙しくてプライベートの時間をとることもできない、給料が安いと大変なことばかりの保育士の仕事をそれでも続けている理由。
それは子どもたちの笑顔と仕事に対するプライドではないでしょうか。そして、これらの案はこのプライドを酷く傷つけられます。

私は保育士になる前はOAを活用するような職種で派遣社員として働いていました。
ある日「業務には変更ありませんが、契約を一般事務に変更しましたのでサインをしてください」と言われました。業務内容が変わらなくて時給も変わらなければ問題ないと思われていたようです。
でも私は著しくプライドを傷つけられ、仕事に対して誇りを感じることが出来なくなり、ほどなくして辞めてしまいました。

現在保育園で働く、薄給でも忙しくても頑張っている保育士を支えているものの一つは『専門職』と言うプライドです。
それを「子育てしていれば」「似たような資格を持っていれば」誰でもできる仕事と言われているようで、他業種の人が保育士をすることに対して受け入れがたい感情があるのです。

人手が少ないから資格がなくても働けるようにすればいいというような安易な方法ではなく、キチンと根本から考えましょう。

保育士資格を持っているのに働かない人が多い理由

そもそも、保育士資格を取得しているのに働いていない『潜在保育士』は全国に68万人いるといわれています。
なぜ保育士資格を持っているのに保育士として働かない人が多いのか。

① 給料が安いから→ただ補助金を出すだけでは保育士のもとに届いていません
少なすぎるという意見もありましたが、国や市町村では保育士の待遇改善のために処遇改善費などの補助金を出しています。
けれどもこの4月、わたしの給料は1円も上がりませんでした。きちんと保育士の手元に届いていないのです。
たとえば認可園の場合、保育料は市区町村が徴収しているのですから、保育士の給料は市区町村から直接支払ってもらえばきちんと保育士の手元に、届くことでしょう。

② サービス残業・持ち帰り仕事が多い→得意な人ができる仕組みを
一般の会社であれば、仕事は特化したものになりますので、お話や接客が上手な人は営業職に、緻密な計算が上手な人は経理など、ある程度得意な分野の仕事をすることができます。
けれども保育園はなぜか、すべての人がすべてのことができなければいけないという風潮があります。
ピアノやお遊戯、手遊びや絵本、最近では書類作成でパソコンも使います。行事の企画運営や、ペープサートや壁面構成・おままごとなどを作ることも要求されます。
多岐にわたる保育士の仕事は得手不得手があって当然。なのに、どの仕事もできるようになることを要求されます。
本当に必要でしょうか?
もちろん個人のスキルアップになりますから、余裕があればできるようになったほうがいいんです。
でも得意な人がやればすぐ終わるんです。

③ 長時間労働やシフト勤務ができない→もっと柔軟な就業形態を
大きな園や複数の園を所有しているところはある程度経営ができる人がいますが、小さな園は家庭内手工業のようなところも多いです。元保育士だった園長先生が経営や管理をしなければいけないのですから決まった就業形態にしか対応できないこともあるでしょう。また担任はフルタイム勤務でないと出来ないなどの決まりもあるようです。
でも、まだまだ女性が圧倒的に多い保育士は、結婚出産で、フルタイム就業できないために復職が難しい、離職せざるを得ないという人も多いのです。
子どもが幼稚園に行っている間だけ、午前中だけ働いて午後は趣味に使いたい、旦那さんの帰りが遅いから午前中に家事を済ませて午後だけ働きたい、などニーズは様々。
そんな希望に合わせた就業形態が選べるようになればもっと復職することができ、離職しないで済む人も多いのではないでしょうか。

保育士 求人

多くの潜在保育士がいる中で保育士が不足しているのは、保育士自体が足らないのではなく、現在の「保育士」という仕事に何か無理があるからだと、気づいてください。
そして適切な対処をしてください。
そうでなければ現在保育士として働く保育士も、未来に希望を抱くことができず、仕事に誇りを失い、保育士という仕事から離れていくことでしょう。

保育士という本来は魅力ある仕事が、もっとみんながやりたい仕事になるような対策が多く生まれることを望んでやみません。

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