心を育てる読み聞かせ術 ~第1回 甲斐恵美先生(1)/0~2歳児向け~

413秒で読めます

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子どもたちは絵本を読んでもらうのが大、大、大好き。
雨が多くなるこの季節、お部屋で読み聞かせをする機会も増えてきますね。

ワクワク、ドキドキ、ほっこり、しんみり…などなど、絵本は子どもたちの感情を豊かに育てて世界を広げ、心の発達にも大きく影響します。ここは、まさに保育士の腕の見せどころ。
そこで、絵本の選び方、読み聞かせ方のポイントなど、私たちの気になることを、現役のベテラン保育士さんにバッチリ聞いてきました!

取材・文/乾 夕美

甲斐 恵美(かい・えみ)先生

千葉県市川市にある北国分の「風の谷こども園」「さかえ・こどもセンター」副園長。
認定こども園である「風の谷こども園」で現役保育士として務めながら、千葉県保育専門指導員として後進の指導にもあたる。また、園内に併設の「さかえ・こどもセンター」で、妊産婦対象の子育て講座、保育園の給食試食会、お母さんの息抜きタイムをプレゼントする会『アンティマミー』、自治体のファミリーサポート活動の講演など、地域の子育て支援活動にも長年携わる。

『風の谷こども園』ホームページ

分が読みたいかどうか、で選ぶ

数があり過ぎて、どれを選んで良いのか迷ってしまう
どんな基準で選べばよいのかわからない」。
保育園での絵本の読み聞かせについて、そんな悩みをよく耳にします。

基本は、自分が好きだと思った本を読んであげるのが一番なんじゃないかな。絵本って本当によくできていて、シンプルなお話の中に、年齢に関係なく大人も子どもも楽しめる要素が、たくさんたくさん詰まっているんです。
ストーリーだけじゃなくて、例えば、絵のタッチが好きだとか、登場人物の表情になんとなく心惹かれるとか。そういう絵本は、繰り返し手に取って開きたくなりますよね。「すてきな本だよ、いっしょに読もうよ」と、子どもたちと絵本の世界を共有するつもりで選んだら良いし、そんな読み手の気持ちは、聞いている子どもたちにも自然に伝わると思いますよ。

それでも、どうしても迷ってしまったら、後ろのページ(奥付)で印刷された回数を確かめるのも手ですね。古い本で何度も増刷された絵本や、短期間のうちに何度も繰り返し印刷が繰り返されている本なら、たくさんの人々に愛された本であるということですから。

ちゃんもちゃんと楽しんでいます

0~2歳児への絵本の読み聞かせは、まだ言葉を理解できないから難しい?
いえいえ、そんなことはありません。

たとえ自分で言葉を話さなくても、擬音語や擬態語、繰り返しされる言葉のリズムを聞いて、みんなおもしろがるものなんです。また、何気ない日常に溶け込んでる場面で、手や体を動かして、自分が読んでもらった絵本の内容とつなげて表現しようとすることもあります。


「おつきさま こんばんは」
林 明子/福音館書店

例えば、この『おつきさま こんばんは』。月の出から始まり、満月がするすると上っていく経過を追ったお話ですが、「おつきさま こんばんは」というページに来ると、赤ちゃんはおじぎをするんですよ!
ほかにも月を見上げている猫の変化に注目する子がいたり、夜空の月に気づいてジーッと見つめたり。本編が終わって裏表紙を見せると、描かれたお月さまの表情をマネしてベーッと舌を出す子もいます。見せる反応はそれぞれですが、この絵本を楽しんでくれているからこその反応ですよね。
そんな姿を見ると、保育士として本当に嬉しくなります。

本に解説はいらない


「だるまさんが」
かがくいひろし/ブロンズ新社

もう一冊の『だるまさんが』は三冊シリーズの最初ですが、子どもたちはみんな「だ・る・ま・さ・ん・が」のリズムが大好きです。
繰り返し読み聞かせるうちに、文章を覚えて、絵に合わせて自分で暗唱する子。だるまさんのユーモラスな表情を見て、何度もケラケラ笑う子。だるまさんの動作や音に合わせて、いっしょに体を動かす子。

そんなさまざまな様子を見ていて感じるのは、絵本の読み聞かせに読み手の演出は必要ないということ。余計な演出はむしろ、子どもたちの想像力をせばめてしまうような気もします。ただ、書いてある文を、心を込めて読む。するとテンポに変化がついたりしますが、子どもたちは自分なりにおもしろがるポイントを、自然に見つけ出すものですよ。

0~2歳児向け

「おつきさま こんばんは」
林 明子・作
(福音館あかちゃんのえほん)
福音館書店 800円(別税)

暗くなった空に満月が顔を出し、二匹の猫が見上げる中、ゆっくり上っていく。一瞬、黒い雲に隠されてしまうけれど、もう一度顔を出した満月は、にっこり笑顔に。裏表紙の下を出したおつきさまの顔が人気。

「だるまさんが」
かがくい ひろし・作
ブロンズ新社 850円(別税)

「だ・る・ま・さ・ん・が」のリズムに合わせてページを左右に動くだるまさんが、伸びたり縮んだり、転んだり。ユーモラスな表情とシンプルな擬音語に、誰もが思わず大笑い。

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