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絵本「いっさいはん」の作者・minchi先生インタビュー

1328秒で読めます

いっさいはん」の可愛いあるあるが大人気!


「いっさいはん」
作・絵 minchi
岩崎書店

いっさいはん』は、最初ブログやTwitterで配信され、そこから火がついて話題になり、その後絵本として出版されました。作者のminchiさんの娘さんが1歳半の時にしていた行動が、とっても可愛らしく描かれていて、お母さんや保育士さんから「あるある(笑)!」と大人気。子どもが身近にいない人が読んでも、子どもの突拍子もない行動が新鮮で楽しめます。
今回は作者のminchi先生にインタビュー。制作秘話や、子どもについて思うこと、今後の活動についてなど、お伺いしてみました。

協力/岩崎書店

▼profile
minchi(ミンチ)

京都生まれ、大阪育ち、兵庫在住。画家、イラストレーター。
アクリルガッシュを使用した幻想的な作品を国内外の展示で発表。チャットモンチー 4thアルバム「YOU MORE」のジャケットイラストを手がける。2016年、フランス人映画監督Aude dansetと3Dショートフィルム「Mishimasaiko」を共同制作。原作とアートディレクションを担当。アヌシー国際アニメーション映画祭など様々な映画祭で上映、またいくつかの映画祭にて賞を受賞する。
★公式サイト「minchi」http://minchi.info/
★第8回 リブロ絵本大賞にいっさいはんが入賞しました!大賞・入賞作が全国のリブロ・よむよむ・パルコブックセンター各店で一斉展開されています。
http://www.iwasakishoten.co.jp/news/n21658.html
★11/20~12/28、ジュンク堂書店名古屋栄店にて「いっさいはん」原画展開催予定です。お楽しみに!

SNSから共感を呼んで話題に

──先生はいつごろから絵を描き始められたのでしょうか?本格的にやり始めたのはいつごろからですか?

幼稚園の時、お絵かきの時間に描いたサツマイモの絵を先生に褒められたのが、描き始めのきっかけでした。褒められて嬉しい!→絵を描くのが楽しい!みたいな感じです。小学生になってからは漫画を読むようになり、漫画家という仕事にも興味を持つようになりました。当時は漫画の描き方なんてよくわかっていなかったので、ノートに鉛筆で漫画を描いてはクラスのみんなに見せていました。
その後ちょっとずつ漫画の描き方を覚え、道具を揃え、たまに漫画雑誌に投稿したりしていました。学校は嵯峨美術短期大学(現在の京都嵯峨芸術大学)に進学して油絵を学びました。やはり1枚の絵を描くという事にも興味があったためです。

──そこから順調に今日まで絵の道を進んでいらしたのですか?

それが、大学卒業後は、絵や漫画を仕事にする道をどうにも見いだせなくて、絵を描く事自体を止めてしまいました。
そこからまた絵の道に戻ったのはパソコンの購入がきっかけになります。パソコンで簡単に絵が描けるという事に気が付いて、試しに描いてみたら面白かったのでどんどん描くようになって、最終的にイラストサイトまで開設してしまいました。
漫画を描きたいという気持ちもあったんですが、どうも話を考える才能がないなという事で、ストーリー性を持った1枚の絵を描くようになりました。
そうこうしているうちにサイトから仕事や展示の依頼が届くようになり現在に至ります。サイト開設時は全てパソコン(デジタル)で絵を描いていましたが、現在はアクリルガッシュや色鉛筆などのアナログ画材で描いています。

──絵本「いっさいはん」は、先生の子育て実体験だそうですね。最初はブログで公開して、その後Twitterで配信したそうですが、なぜSNSではじめたのでしょうか?

ブログは子供が1歳半当時、育児に行き詰まり突発的に開設したものなんです。育児ブログとして絵日記のような物を時々載せていましたが、すぐに飽きて(と言うか疲れて)止めてしまいました。イラストサイトと育児ブログとは別名儀だったので、育児ブログの存在を知っている方はほとんどおられないと思います。その数年後、そのイラストの事をふと思い出して、なんの気なしにイラストサイト名義のTwitterに載せた所、ものすごい反響があってびっくりした次第です。

──そのtwitterで出版社の方の目に止まって、絵本になったわけですよね。そう思うと、その数年間が運命の扉が開くために必要だった時間に思えますね。
「いっさいはん」は、ニコニコとおとなしそうな見かけの女の子が、次々面白い行動をするのが新鮮で、ひと目で惹きつけられました。
作品にするときに、主人公を男の子に変更しようとか、キャラがえをしようとは思いませんでしたか?

ありがとうございます。娘自体がイラストを喜んで見ていたのと、娘の行動記録(図鑑)のような気持ちでいたので、キャラを変更するという発想はまったくなかったです。
また、赤ちゃんでも女の子と男の子では多少違う部分があるなと感じていました。もし性別を変えていたら話にリアリティを持たせられなかったんではと予想しています。

──「いっさいはん」を描くときに、全体で特に気をつけたことは、どんなことですか?また、絵を描くときに気をつけたことは何ですか?

他の人から聞いた話ではなく、実際に自分の娘が行った行動だけを描きました。自分が体験した、かわいい、おもしろい、たいへん、と思ったその時の状況をそのまま描く事によって臨場感が出る気がしたからです。
絵は自分が子育てを始めてからかわいいと感じた子供の様々な部分をすべて詰め込みました。オムツでお尻が丸くなっているところや、ぽっこりしたお腹ぽっちゃりしたほっぺや指など。1歳半の子とふれあった事がない子供達や、育児経験の無い方へも1歳半の子の可愛さを知って欲しいなという気持ちがありました。

──はい!まったくそのとおりに、私、身の回りに子どもはいませんが、「1歳半って、こんな感じかぁ!」と読んでいて楽しくなりました(笑)。

本に登場するぬいぐるみ「虫歯ちゃん」は実在する!

──ちなみに絵本の中に出てくる虫歯のぬいぐるみは、実際に先生が作って娘さんにあげたものだそうですが、絵本に出てくるいもむしやきのこのぬいぐるみも実際にあったのでしょうか?

ぬいぐるみが実在するのは虫歯だけです。(虫歯ちゃんという名前です。)
右側の物が、娘が今も大事にしているぬいぐるみです。左側は最近新たに作ったものです。

ちなみに乳歯ちゃんというぬいぐるみやその他にも歯茎付きの物など色々作っています。


虫歯もそうなんですが、キノコイモムシは好きなモチーフで昔からよく作品の中に登場させていました。
イモムシは、以前アートディレクションとシナリオ原案を担当させて頂いた「Mishimasaiko」というショートフィルムに幼虫として登場していたりもします。

【幼虫動画】

【Mishimasaiko公式サイト】
http://www.mishimasaiko.com/web/ja/film

イモムシもキノコもいつかぬいぐるみを作ってみたいなと思っています。でもイモムシは構造が複雑なのでなかなか手を出せないでいます。

身時代は子どもが苦手。母になり、子どもが親に向ける信頼感のすごさに触れて・・・

──「いっさいはん」の中で、先生が一番お気に入りのエピソードはどれですか?その時の実際のシチュエーションはどんな感じだったのか少し教えていただけますか?

お気に入りは「フリーザーバッグをバッグ」にするというエピソードです。フリーザーバッグの口(ジッパーの部分?)が破けてしまったので、捨てようと机の上に置いておいたら、娘がカバンに見立てて雑誌のモデルさんのようなポーズをとっていたので、思わず笑ってしまいました。大人にとってはゴミにしか見えないものでも子供には違って見えるんだなあと興味深かったです。

──「いっさいはん」は、読者さんから、どんな反響が多くありましたか?

多くの方からあるあるという感想を頂きました。自分と同年代の方だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんも共感して下さったり、またお子さんをお持ちでない方にも楽しんで頂けたようで嬉しく思っています。兄弟姉妹、甥っ子さん姪っ子さんがおられる方からも、同じような経験をした、というお話を聞かせて頂きました。自分が想像していたよりも幅広い世代の方達に読んで頂けてびっくりしています。
「眼鏡を壊される」「寝ている時にかかと落としをされる」は、経験されている方がかなり多いようで、どこのお子さんも同じなんだなと笑ってしまいました。

──読むと楽しいのですが、現実に当時も笑えましたか?思い通りにならない子育てにイライラしたりはしませんでしたか? 

娘はかなりショートスリーパーで昼寝も少なく、夜も頻繁に目覚めて起きてくるタイプで、さらに食物アレルギーやアトピー、ぜんそく、もあったので、当時は精神的にも肉体的にも追い詰められていました。
育児ブログを作ったのもそういう気持ちを発散したかったからだと思います。

──子どもはもちろんかわいいのですが、保育士さんたちも、思い通りにならない子どもを前にしたときは切ない気持ちになることも多いようです。そんなときの気の持ちようを保育士さんにアドバイスするとしたら?

自分の場合ですが、小さい子どもは大人とは違う生き物で、子どもにとっては、すべては初めての事で間違えるのはしかたないし、覚えるのにも時間がかかるという風に考えたらちょっとは気が紛れました。なんだか当たり前の事しか言えなくてすいません。
むしろ自分はイライラしてしまう事が多く、保育士の先生の方が大変だろうにみなさん穏やかに上手く子どもたちと付き合っていて、一体どうされているのかななんて思っていました。大勢の子供を一緒に見ていると誰かしらが癇癪を起こしたり、喧嘩があちこちで勃発したりしますよね。娘の友達が家に遊びにくるようになってから先生たちの大変さがわかるようになりました。

──独身時代には分からなかった、実際に子どもと向き合ったからこそわかる、子どもの魅力は何ですか?先生にとって子どもは、どんな存在ですか?

独身時代は子供の可愛さが分からず、子供が何を考えているかもよく分からなくて苦手意識を持っていました。いざ自分が子育てしてみると、生まれたばかりの子どもって何も考えてないし、1つ1つ物事を覚えて人間になっていくんだなと気がつきました。それで子どもへの苦手意識はなくなりました。何にも知らない子どもが少しずつ人間に近づいていくのは、生命の神秘という感じで非常に面白いです。
子供の物心がついてくると親への信頼感っていうのですかね、それがものすごいなと感じるようになりました。好きと言われたら誰だって嫌な気はしないですよね。子供は全力でぶつかってくるので、自分も全力で返さなければという使命感みたいな物が生まれてきました。

なくなってもわかるように鈴をつけられていた子ども時代!?

──先生ご自身はどんな子どもでしたか?保育園での思い出を教えてください。

母親から聞いた話しですがじっとしていない子供で育てるのが大変だったそうです。鍵をかけていても家から飛び出していってしまうので、居なくなったら音でわかるように鈴をつけられていたそうです。保育園の入学式では皆が式で教室で着席しているところを、1人で抜け出して園庭で遊んでるような子供だったらしいです。その時の反動か今は正反対の性格になりました。

──娘さんの保育園の先生の思い出はありますか?

通っていた保育園ではたまにクッキー作りなどのイベントがありました。娘は食物アレルギー(卵、乳製品、魚、ピーナツ、など)が重くて参加は諦めていたのですが、先生が配慮して下さって娘でも作れる食材でクッキー作りに参加させて下さいました。また給食では、魚がダメな娘の為にお肉を魚の形に形成して下さったりもしました。食事では我慢しなければいけない事ばかりだったので先生の心遣いが嬉しかったです。

──お母さんminchiさんにとって、保育園・幼稚園の先生はどんな存在でしたか?あるいは、保育士さんという仕事について、どのようなイメージを持っていますか?

先生には本当にお世話になり感謝してもしきれません。娘は保育園や先生が大好きでよっぽど楽しかったのか、行くのを嫌がって泣くという事がほとんどなかったんです。また、娘のクラスでは工作にとても力を入れて下さっていて、通っていた当時は毎日のように色々な工作を作って帰ってきていました。娘は今でも工作が大好きです。

──もし保育士になったとしたら、子どもにどんな絵本を読んであげたいですか?もしくは保育士さんにオススメ絵本があれば教えてください。

自分で自分の本をおすすめしてしまいますが、「いっさいはん」を読んであげたいです。「いっさいはん」は大人向けの絵本だと思われている方が多いようなのですが、自分としては少し物心ついたお子さんと一緒に読んで楽しんで欲しいと思っています。

作は「にゅうしちゃん(仮)」といっさいはんよりもうちょっと大きめの子供が主人公のお話

──新作のご予定はありますか?決まっていたら、どんな内容になりそうか、ちょっとだけ教えてください。

絵本の新作は2つ制作中です。
ひとつは乳歯をテーマにした「にゅうしちゃん(仮)」というお話です。子供って歯磨きが嫌いで自分も娘に歯を磨かせるのには苦労してきたので、子供達に歯への興味を持ってもらいたいたいなあという気持ちから生まれました。
もう一つはいっさいはんよりもうちょっと大きめの子供が主人公のお話です。自分の娘の行動がモチーフになっています。詳細はまだお話し出来ませんがどちらもとても面白いお話になる予定です。
Twitterでは時々絵本の制作行程をツイートしていますので良かったらご覧になってみてください。 https://twitter.com/minchisan

──将来、描いてみたいお話、やってみたい活動はありますか?

植物や昆虫、食べ物などを描くのが好きなもので、そういった物をモチーフにしたお話を描いてみたいです。
それから絵本とは違う自分の作品を纏めた画集もいつか作ってみたいです。後はなかなか機会が得られないんですが東京でも展示をしてみたいです。

──最後に保育士さんに、応援メッセージをお願い致します!

保育士さんというお仕事はとても大変な仕事だなと思います。子供1人見るだけでも大変なところを1人で何人もの相手をするんですから。自分も娘も先生には沢山助けて頂き本当に感謝しております。子供達の良き理解者である保育士さん達をこれからも応援しております!

子どもにも・大人にもオススメ!

「いっさいはん」
作・絵 minchi
岩崎書店 1,200円(税別)

「1歳半くらいの子どもの行動」が絵本になりました。じっとしていられない、なんでも壊すなど、あるあるすぎる子どもの行動に、思わずくすっと笑ってしまいます。

minchi先生のこれからのご活躍も楽しみにしています!ありがとうございました。

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