保育の書類のコツ・第1回 指導計画書に記入するのはどんなこと?

711秒で読めます

711秒で読めます


保育の仕事をするうえで、結構多いのが、書く仕事。指導計画書やお便り、連絡帳、メールなどの書き方は、保育実習や試験勉強では習わないこともあり、書くたびに悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
上手に書くポイントについて、学校講師として保育士養成指導や現役保育士のサポートを務めている木梨美奈子先生に伺いました。
6回シリーズの第1回は「指導計画書に記入するのはどんなこと?」がテーマです。

木梨美奈子(きなし・みなこ)先生

LEC東京リーガルマインド講師。
東京福祉専門学校、東京福祉大学でも講師をおこなう。東京音楽大学声楽家を卒業後、保育士養成分野では音楽理論、音楽実技を指導。その後慶應義塾大学法学部を卒業し、大手資格スクールにて保育士国家試験科目における法令関連の科目を担当する。
平成12年には自らも保育士国家試験に合格し、現在は全科目試験対策講座を担当。また大学や専門学校などの保育士専門学科で広く指導しているほか、現役保育士のサポートにも尽力している。
著書に「保育で使える文章の教科書」「保育士・幼稚園教諭採用試験 面接試験攻略法」「保育士の専門常識・基礎知識」(すべてつちや書店)がある。

LEC東京リーガルマインド http://www.lec-jp.com/hoikushi/

指導計画書は、「ねらい」に合わせた保育と、反省・評価をするためのもの

指導計画書は、厚生労働省が出す「保育所保育指針」という保育のルールにそって、実際に園でおこなう保育内容を計画するためのものです。

年間、期間、月間、週案、日案、の5種類があり、作成した指導計画書は園長に提出します。また、保育士はこの指導計画書にそって保育をおこない、その後は、ねらい通りにできたかどうかを反省したり、評価することで、次回の指導計画の内容に生かしていきます。

指導計画の生かし方の流れは、以下の通りです。

1・「子どもの姿」を把握する
担当するクラス全員の人間関係などの様子と、子ども1人ひとりの様子をチェックします。

2・成長の見通しを立てて「ねらいを設定」
子どもの年齢や季節に合った保育の目標「ねらい」を決めます。

3・「ねらい」を達成するための「内容」を決める
「ねらい」を達成するために、子どもたちに必要な経験や指導などを「内容」として具体的に決めます。

4・活動しやすい「環境・援助・配慮」を考える
「内容」を実践するために、子どもたち1人ひとりが積極的に活動できるための「環境・援助・配慮」を考えます。

5・保育を実施する
立てた計画にそって保育をおこないます。

6・「反省・評価」をする
保育の実践後、子どもたちの様子を振り返り、反省と評価をします。

このような流れをおこない、反省や評価で出たことを、次の計画書に生かすことで「ねらい」に対して効果的な保育ができるようになります。
また毎日の保育を振り返り、よりよく改善していくことで、保育士自身が保育技術を高められるでしょう。

なお、指導計画の基本になる「保育所保育指針」には、保育所や保育士がめざしたい目標として、5つの領域ごとに、それぞれ3つのねらいが定められています。
厚生労働省のホームページなどから見ることができるので、チェックしておくといいでしょう。

項目別に、書き方のポイントを知っておこう


次に、項目ごとの基本ルールを理解して、書くべきポイントをつかみましょう。

1・「子どもの姿」
まず、子ども1人ひとりが関心のあることや、生活や健康に問題はないか、などをチェックします。たとえば、1人でポツンと遊んでいる子がいたとしたら、その様子や心の中を考えて「何をすればよいかをまだ理解できていない子もいる」などと書きます。
またクラス全員の人間関係などを見て、たとえばヒーローごっこをしている子や、ままごとをしている子が多いなら、それらの子どもたちに共通する点を探して「友達と遊ぶことを楽しんでいる」「役割分担をして遊んでいる」といったことを書くといいでしょう。

2・「ねらい」
子どもの年齢や季節に合った保育の目標「ねらい」を決めます。子どもたちが興味を持っているものと、保育士が望むことを合わせて考えましょう。子どもの家庭生活と連携した「ねらい」を決めることで、子どもはスムーズに園生活を送れます。季節や行事と関連させることも大切。書くときの主語は子どもにしましょう。
たとえば、

1・友達と一緒に遊べるようになる
2・登園したら、保育士と一緒に身支度をする
3・はさみの使い方を覚える

など。目標となる子どもの姿を設定する項目なので、具体的な説明は不要です。

3・「内容」
「ねらい」を達成するために、具体的におこなう保育の「内容」を書きましょう。主語は子どもにし「ねらい」と連動させながら、必要な活動や経験を細かく記入します。
たとえば2で書いた「ねらい」に連動させる場合なら、

1・グループに分けて役割分担をし、リズム遊びをする
2・かたづけの法則を知り、保育士に手伝ってもらいながら自分で片付ける
3・折り紙や画用紙を使い、はさみで切る練習をする

など。具体的なことを書くといいでしょう。

4・「環境・援助・配慮」
子どもたち1人ひとりが「内容」に積極的に取り組めるよう、準備したい道具や空間、制限時間などの環境や、子どもたちの様子を予測しながら保育士がどんな援助・配慮をしたらいいのかを考えます。
たとえば、はさみの使い方を覚える、という「ねらい」のために、折り紙や画用紙を使い、はさみで切る練習をする、という「内容」を実施するためには、

1・小さめのはさみを用意し、安全に切れるようにする
2・1人ひとりに指導しやすいよう、大きな机を4つ用意し、1つの机に4人ずつ座らせる
3・練習をする前に、はさみを安全に使うための指導をおこなう
4・子どもたちが飽きないよう、さまざまな色や柄の折り紙を用意する

などと書くといいでしょう。

5・「反省・評価」
保育を振り返って、子どもがどんな活動や経験をすることができたか、「ねらい」をどのくらい達成できたかを記入。またどのような点が問題だったかも検討し、次の計画書を作る際の参考にします。
たとえば、はさみの使い方を教えた場合、

1・はさみ使いが上手な子はつまさらなさそうにしていたので、今度実施するときには、はさみ使いが得意な子向けの難易度の高い工作も準備する
2・はさみをこわがる子がいたので、一緒に手伝うなどしてはさみへの恐怖心を減らすようにする

など。子どもたちの様子に、改善すべき部分を加えて書きましょう。

その他の項目についてもご紹介します。

「年間目標」
年間指導計画に記入します。1年間の子どもの成長や発達を見通して、育てたい子どもの姿を、園全体の指導計画の内容に沿っておおまかに書きます。

「健康・食育・安全への配慮」
活動の内容や季節によって、子どもたちの健康と安全を守るためにはどんな配慮が必要となるかを考え、記入します。食において大切にしたいこと、指導したいことについても書きます。

「延長保育・預かり保育」
活動内容や、子どもに対する配慮を記入します。保護者と離れる時間の多い子どもたちのストレスにならないよう、通常保育からの連続性や生活リズムへの配慮も考えましょう。

「家庭・地域との連携」
園での保育は、家庭生活や地域生活とつながっているため、家庭や地域との連携プレーが欠かせません。日常的に、家庭や地域に協力をお願いしたいことを記入します。

「行事」
園全体やクラス単位でおこなう行事を記入します。年間指導計画では、季節や地域の活動に合わせながら、一時期だけに集中しないよう、バランスよく配分しましょう。

次回は「年間、期間、月間、週案、日案、5種類の指導計画書を作成するコツ」をご紹介します!

著書紹介

木梨先生の著書「保育で使える文章の教科書(つちや書店・税込2,376円)」は、指導計画書、連絡帳、おたより、メールの書き方など、保育士さんの書類仕事のコツや文例がたくさん掲載されています。文章が苦手な保育士さんの強い味方!手元に1冊あると便利です☆
★ご購入はコチラ★

カテゴリを選択する