保育の書類のコツ・第2回 年間、期間、月間、週案、日案の書き方

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保育の仕事をするうえで、結構多いのが、書く仕事。指導計画書やお便り、連絡帳、メールなどの書き方は、保育実習や試験勉強では習わないこともあり、書くたびに悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
上手に書くポイントについて、学校講師として保育士養成指導や現役保育士のサポートを務めている木梨美奈子先生に伺いました。
6回シリーズの第2回は「年間(期間)指導計画と、月案、週案、日案を作成するコツ」がテーマです。

木梨美奈子(きなし・みなこ)先生

LEC東京リーガルマインド講師。
東京福祉専門学校、東京福祉大学でも講師をおこなう。東京音楽大学声楽家を卒業後、保育士養成分野では音楽理論、音楽実技を指導。その後慶應義塾大学法学部を卒業し、大手資格スクールにて保育士国家試験科目における法令関連の科目を担当する。
平成12年には自らも保育士国家試験に合格し、現在は全科目試験対策講座を担当。また大学や専門学校などの保育士専門学科で広く指導しているほか、現役保育士のサポートにも尽力している。
著書に「保育で使える文章の教科書」「保育士・幼稚園教諭採用試験 面接試験攻略法」「保育士の専門常識・基礎知識」(すべてつちや書店)がある。

LEC東京リーガルマインド http://www.lec-jp.com/hoikushi/

年間指導計画の書き方のポイントとは?

指導計画には、1年を通しての目標や、保育の流れを記入する年間(期間)指導計画と、それをもとに具体的な保育の計画を記入する月案、週案、日案、の4種類があります。
年間指導計画を作るためには、まず年間目標を立てましょう。
園が設定する「保育過程」に書かれている理念や方針、保育の目標をもとに設定します。

年間目標ができたら、それを1年でクリアできるように、保育の内容を考えて、「子どもの姿」「ねらい」「内容」「環境構成」「援助・配慮」「家庭・地域との連携」「行事」の項目ごとに、1期(4〜5月)、2期(6〜8月)、3期(9〜12月)、4期(1〜3月)の4つに分けて記入していきましょう。
各項目については、第一回でくわしく説明しています。

たとえば年間目標を

・生活習慣や身の回りのことを自分でできるようにする。
・保育士や友達と楽しく遊べるようになる。
・生活や遊びのルールを知り、守れるようになる。

とした場合。

1期
「子どもの姿」よろこんで登園する子と、不安を抱きながら登園する子がいる。
「ねらい」よろこんで登園し、保育士に親しみを感じる。
「内容」園での生活の仕方を知り、保育士に手伝ってもらいながら、自分でしようとする。
「環境構成」遊びの部屋は家庭的な雰囲気にし、子どもが安心して過ごせるようにする。
「援助・配慮」子どもが気持ちを素直に表現できるように、共感したり、代弁したりする。
「家庭・地域との連携」子どもが初めて集団生活を送る不安を理解し、子育てのよろこびを共感しながら信頼関係を結んでいく。
「行事」4月/入学式 5月/親子演奏

・・・といった具合で記入していきます。
さらに2期、3期、4期と進むごとに「子どもの姿」や「ねらい」をステップアップさせていき、その他の項目もそれにならって変えていくことで、年間目標を達成できるようにしましょう。

ポイントは、月齢や年齢に応じた子どもの成長・発達を考えながら、内容を考えることです。またスタートは入園・進級のある4月で、ゴールは卒園のある3月。この1年の流れを意識しながら、子どもが成長しやすい保育内容を考えます。
行事は1年の中に分散するように計画しましょう。

月案は、子どもの成長や季節を考えて、具体的な計画を立てる

年間目標を達成するために、1ヶ月ごとに、それぞれ1〜4週に分けて計画します。前の月の子どもの成長や発達をふまえながら、1ヶ月の間にどのように成長させたいかを考えて、項目ごとに書いていきます。季節の変化も取り入れましょう。
たとえば、上に紹介した年間指導計画の例にそって書くと、

第1週
「子どもの姿」保護者と離れての集団生活に期待と不安があり、泣く子もいる。
「ねらい」保育士を信頼し、安心して集団生活をする。
「内容」多くの保育士と触れ合うことで、親しみを抱く。
「環境構成」部屋を家庭的な雰囲気にして、安心して過ごせるようにする。
「援助・配慮」親しみをもってあいさつをしたり、ふれあい遊びをして交流を深めていく。
「家庭・地域との連携」送迎時に保護者に積極的に話しかけ、子どもの様子を共有し、信頼関係を作る。
「健康・食育」手洗いとうがいに大切さを伝え、指導する。

・・・といった感じで記入し、2〜5週までの計画も続けて書きましょう。
さらに、1ヶ月の保育が終わった時点で「反省・評価」も書き加えます。
たとえば、

「反省・評価」園生活に戸惑う子どもが多かったが、外から来て、手洗いうがいをする、といった流れを繰り返し教えることで、生活の流れがつかめた。今後も子どもたちが自分で身の回りのことができるようにし、そのことによろこびを感じられるように指導したい。

・・・といった感じです。

週案は、前週の子どもの様子を考えて、1週間でできる活動を計画する

週案は、月案を参考にしながら、1週間ごとの保育の計画を立てるものです。前の週の子どもの様子も考えながら、月曜日から金曜日(あるいは土曜日)までの1週間でできる活動を計画していきましょう。
子どもが前の週よりもステップアップできるように、行事の予定や天候にも配慮しながら、内容を考えていきます。
たとえば、

11月⚪日(月)
「ねらい」ルールのある運動を楽しむ。
「内容」体操着に着替えて、園庭に集まる。保育士からルールの説明を聞いて、ルールにしたがって運動をする。
「指導・配慮」運動の前にポイントを押さえてルールを正しく伝える。

・・・といった感じで、金曜日(あるいは土曜日)までの計画を書き入れましょう。

日案は、週案の内容を達成するために、1日の保育を計画する

日案は、週案の内容を達成するために、その日にするべきことを詳しく計画し、時系列で記入していきます。登園から降園までの子どもの1日の生活を想定しながら、週案で設定した1週間の内容をより細かく、毎日の達成度も考えながら書きましょう。ほかの指導計画書とは違って、時系列で活動をくわしく記入することが特徴です。
前日の子どもの様子をふまえて、さらに翌日に何をすべきかを考えて予定を立てます。
たとえば、

11月⚪日(月) 天気 晴れ 欠席:⚪️、⚪️、担任:保育士ファイン子
ねらい 読み聞かせを楽しむ、リズム遊びで体を大きく動かせるようになる。

(時間)
8:30

(内容)
順次登園、自由遊び

(予想される子どもの姿)
持ち物を自分のロッカーにしまう。

(環境・援助・配慮)
リュックを背負ったまま遊んでいる子には、ロッカーを片付けるように伝える。おもちゃはあまり出さない。

(時間)
9:30

(内容)
朝の会

(予想される子どもの姿)
担任の保育士の前に並んで座る。

(環境・援助・配慮)
おもちゃの片付けが終わっていない場合は、片付けるように指導する。

(時間)
10:00

(内容)
読み聞かせ

(予想される子どもの姿)
自分でイスを用意して、保育士の前に並べて座る。

(環境・援助・配慮)
椅子を持ち上げずに、床を引きずって用意する子には、きちんと持って移動するよう伝える。
絵本は『はらぺこあおむし』を用意。

(時間)
11:00

(内容)
自由遊び

(予想される子どもの姿)
空欄

(環境・援助・配慮)
空欄

(時間)
12:00

(内容)
給食
歯磨き

(予想される子どもの姿)
机を準備し、トイレと手洗いを済ませる。
配膳係が給食を配る。

(環境・援助・配慮)
完食できた子はたくさんほめる。
あまり食べられない子には、最初は少なめに盛る。

(時間)
13:45

(内容)
午睡

(予想される子どもの姿)
着替えとトイレを済ませる。
自分で布団の用意をする。

(環境・援助・配慮)
眠れない子には、保育士が添い寝する。

・・・といった感じで、時系列に1日の計画を立てていきましょう。
書いた内容にはがんじがらめにならなくて大丈夫。たとえば予定していた絵本を読んで、子どもの反応が悪ければ、他の絵本に差し替えてもオッケーです。
あくまで週案の内容を達成するための目安として活用しましょう。
またその日にできなかった活動は、翌日に持ち越しても大丈夫。ただし週案の内容は、基本的に1週間のうちに終わらせましょう。

指導計画で使う表現用語について、知っておこう

指導計画でよく使う用語の意味や、似ている表現のニュアンスの違いを理解しておくと、より書きやすくなります。

「ゆっくり」と「ゆったり」
「ゆっくり〜する」は時間配分を多く設ける場合。子どもを焦らせないよう、スローペースで指導するときに。「ゆったり〜する」は、保育士が焦らず子どもを援助する場合。時間制限がなく、自由に落ち着いて過ごす場合に使います。

「よろこんで」と「楽しく」
「よろこんで〜する」は、子どもが自分の好きなものごとに取り組む場合や、進んで取り組んでいる様子に。「楽しく〜する」は、ものごとにたいして子どもが自分なりによろこびを見つけ出している様子のときに使います。

「意欲的に〜する」と「満足するまで〜する」
「意欲的に〜する」は、取り組むべきものごとにたいして、子どもが積極的に、深い関わりを持っている様子に。「満足するまで〜する」は、子どもたちが「やりきった」と思えるまで活動をおこなう場合に使います。

「うながす」と「誘う」
「うながす」は、保育士が子どもをものごとに積極的にかかわらせようとしたり、活動に関心のない子どもに対して、自ら参加してくなるように仕向ける場合に。「誘う」は、子どもの注目をひいて関心をもたせたり、活動に関心のない子どもにたいして、保育士の主導で参加させる場合に使います。

次回は「連絡帳の書き方のポイント」をご紹介します。

著書紹介

木梨先生の著書「保育で使える文章の教科書(つちや書店・税込2,376円)」は、指導計画書、連絡帳、おたより、メールの書き方など、保育士さんの書類仕事のコツや文例がたくさん掲載されています。文章が苦手な保育士さんの強い味方!手元に1冊あると便利です☆
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