保育の書類のコツ・第3回 連絡帳の書き方

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保育の仕事をするうえで、結構多いのが、書く仕事。指導計画書やお便り、連絡帳、メールなどの書き方は、保育実習や試験勉強では習わないこともあり、書くたびに悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
上手に書くポイントについて、学校講師として保育士養成指導や現役保育士のサポートを務めている木梨美奈子先生に伺いました。
6回シリーズの第3回は「連絡帳の書き方のコツ」がテーマです。

木梨美奈子(きなし・みなこ)先生

LEC東京リーガルマインド講師。
東京福祉専門学校、東京福祉大学でも講師をおこなう。東京音楽大学声楽家を卒業後、保育士養成分野では音楽理論、音楽実技を指導。その後慶應義塾大学法学部を卒業し、大手資格スクールにて保育士国家試験科目における法令関連の科目を担当する。
平成12年には自らも保育士国家試験に合格し、現在は全科目試験対策講座を担当。また大学や専門学校などの保育士専門学科で広く指導しているほか、現役保育士のサポートにも尽力している。
著書に「保育で使える文章の教科書」「保育士・幼稚園教諭採用試験 面接試験攻略法」「保育士の専門常識・基礎知識」(すべてつちや書店)がある。

LEC東京リーガルマインド http://www.lec-jp.com/hoikushi/

報告は具体的なエピソードを添えて書くと、わかりやすい

子どもの様子を伝える際は、保護者が見ていないところで、どんな様子があったのかをわかりやすく書くことが大切です。
そのためには、「お友達とかけっこを楽しみました」「上手にお絵描きができました」など具体的なエピソードをそえましょう。

たくさんエピソードを並べるのではなく、印象的な出来事をひとつにまとめて書くほうが、伝わりやすくなります。

トラブルがあった場合は、個人名は出さず、子ども同士でどのようなやりとりがあり、どんな経験をしたかを書くといいでしょう。

返信は、保護者の気持ちをくんで、前向きな表現を

保護者からのメッセージに返信する際は、保護者の気持ちを読み解いて書くことが必要です。まず、メッセージを書いてくれた保護者に感謝の気持ちを持ちましょう。

保護者は、保育士に「聞いてほしい」「伝えたい」と思ったことを、連絡帳に書いてきます。たとえそれが批判的、感情的な内容であっても「貴重な情報を提供してくれた」と受け止めることが大切です。
返答に迷ってしまうような質問や相談ごとがあったら、上司に相談を。プライベートな内容を書いてくる保護者には、深入りしないでさらっと受け流すことも大切です。

連絡帳は、顔が見えない分、書き方次第で印象が大きく変わってきます。
たとえば「⚪︎⚪︎ちゃんは行動が遅いです」など否定的な表現を用いると、保護者は不安になってしまうので、「⚪︎⚪︎ちゃんは、行動はゆっくりしていますが、ていねいに行えるようになってきています」など、成長が見えるように書けるといいですね。
他の子どもと比較することは避けて、一人ひとりの成長と発達を見守る姿勢で書きましょう。

文字はていねいに書き、書き終えたら誤字脱字や、子どもの名前が間違っていないかなどを確認するといいですよ。

保護者からの悩み相談や、園からの提案など、ケース別・書き方のコツ

保護者からの申し出に対しての返事

保護者から、何か申し出があったときは、子どものことを第一に考えて対処します。
たとえば「昨日からお腹が痛いと言っています。寒くないようにしてください」と書かれていたら、まず園で情報を共有し、園で子どもがお腹を痛がっていないかを確認しつつ、念のため屋外活動は控えるなどの対応が必要です。
対処したら、連絡帳に返事として書きます。
たとえば・・・

「ご連絡ありがとうございます。⚪︎⚪︎ちゃんの体調が心配ですね。今日は様子を見ながら、あたたかい室内で過ごしました。お腹を痛がることなく元気に遊べなしたが、気温の低い日が続きますので、今後も⚪︎⚪︎ちゃんの体調を見守りたいと思います」。

このように書けば、当日だけでなく、引き続き体調を見守ることを伝えられ、保護者の不安や心配をやわらげることができます。

保護者から具体的な要望がなくても、書かれた内容に気配りを示しましょう。
たとえば「運動会の練習が続いていて、疲れているようです」と書かれていたら、まず保護者の気持ちを察し、子どもが本当に疲れているかどうか、園での様子を観察して、疲れがみられたなら、園で配慮することや、家庭で注意してもらいたいことも具体的に伝えます。園で疲れた様子がみられなくても、引き続き配慮していくことを伝えましょう。

保護者からの悩みなどが書かれている場合

保護者から子育ての悩みなどが書かれている場合は、保護者の気持ちをまず受け止めます。
たとえば「最近『バカ』などの言葉を使います。園でも使っていないでしょうか」
と書かれていたら・・・

「園では⚪︎⚪︎くんがそういう言葉を使う場面はみられません。お友達と言葉でコミュニケーションをすることが増える年齢なので、もし乱暴な言葉を使うことがあれば、ていねいな言葉遣いが自然とできるように指導していきます」

このように、子どもの様子を観察して保護者に報告し、今後どのように配慮していくかも伝えてあげるといいですね。

実際に問題があれば、保護者と園で連携しながらどう対処するかを明確に書いてあげることで、保護者を安心させてあげられるでしょう。
またこのような場合、つい「園での生活の影響だと思っているんだろうな」などとマイナスの印象を感じてしまうこともあるかもしれませんが、深読みせず、文面をそのまま受け止めることが大切です。

園から保護者にお願いごとがある場合

保護者にお願いするだけでなく、園でも対処することを伝えます。
たとえば上着を持ってきて欲しいなら・・・

「今日は公園に散歩に行ってきました。みんなでどんぐりを楽しく集めていたら、⚪︎⚪︎ちゃんが『寒い!』と言っていました。これからは、薄手の上着を1枚持って来ていただくと、寒さを防いで楽しく散歩ができると思います。園でも、散歩に行くのは天気のいい日だけにして、体調を崩さないよう配慮していきます」

と書くといいでしょう。

園でのトラブルを伝える場合

けんかやけがなどのトラブルを伝えるときは、言い訳はせず、ありのままを報告し、お詫びします。たとえば子どもにけがをさせてしまった場合は・・・

「今日、園庭で鉄棒をしているとき、⚪︎⚪︎ちゃんが鉄棒の上に体を乗せて両手を離し、落ちてしまいました。受け止めようとしましたが間に合わず、大変申し訳ございません。膝をすりむいたので、消毒して絆創膏を貼る処置を行いました。腫れや激しい痛みはないようです。念のため、ご家庭でも様子をご確認ください。今後はこのような事故が起こらないよう、注意してまいります」

と書くといいでしょう。

連絡帳の印象を左右する「書き出し」と「書き終わり」の文例

まずは実際に使える、書き出しの文例をご紹介しましょう。

<書き出しの文例①:家庭からの報告に対して返信する場合>

家庭であった楽しいエピソードには
「おうちでの⚪︎⚪︎ちゃんの様子が目に浮かびます」
「すごいですね!実際に見てみたかったです」
など、喜びや楽しみを分かち合う姿勢で書くといいですね。

家庭でいたずらなどの困りごとの報告には
「⚪︎⚪︎ちゃん、やりますねぇ! お母さんもお疲れ様でした」
と、保護者をねぎらう感想を。

メッセージから、がんばりすぎて疲れているように思える保護者には
「お母さんが⚪︎⚪︎ちゃんのために、がんばっているからなんですね」
など、保護者のがんばりが、子どもの成長や発達につながっていることを表現します。

保護者からの心配、悩み事には
「お気持ち、よくわかります。」
「⚪︎⚪︎ちゃんは、園では楽しく過ごしていましたよ」
など、保護者の気持ちに寄り添い、安心させてあげられるような言葉をかけるといいでしょう。

<書き出しの文例②:園からからの報告、お願いをする場合>

園でのエピソードを報告する場合は
「⚪︎⚪︎ちゃん、〜がとても上手になりました」
「⚪︎⚪︎ちゃんは〜が大好きですね」
など、保護者と喜びを共有する気持ちで。

お願い、提案をする場合は
「⚪︎⚪︎ちゃんが〜と言っていました」
「園では〜の活動を始めます」
など、お願いや提案の前提となるエピソードを書くといいでしょう。

お礼や謝罪をする場合は
「いつもご協力いただき、ありがとうございます」
「ご意見ありがとうございます」
「〜についてお詫び申し上げます」
「こちらの不注意で〜できず、大変申し訳ございません」
など、素直な感謝の気持ちや、お詫びの気持ちを表現します。

次に、書き終わりの文例を、ケース別にご紹介します。

<書き終わりの文例②:園からからの報告、お願いをする場合>

園からのエピソードを報告する場合は
「元気いっぱいの⚪︎⚪︎ちゃんでした」
「おうちでも、たくさんほめてあげてくださいね」
など、そのエピソードから受けたいい印象や、感想を書きましょう。

けんかや体調不良などがあった場合は
「⚪︎⚪︎ちゃんにとってもいい経験だったと思います」
「ご家庭でも変化があったら、教えてください」
など、ケースに応じて前向きな感想や、今後の提案を書き、引き続き見守っていく姿勢を表しましょう。

園からお願いや提案をする場合は
「園でも挑戦していますので、おうちでもためしてみてください」
「ご家庭でも〜をして、親子の時間を楽しんでみてください」
など、一方的に押し付けるのではなく、家庭や子どもへのメリットや、園でも取り組むことなども伝えられるといいですね。

保護者からの心配、悩み事に対しては
「こちらでも様子を見守っていきたいと思います」
「心配事があれば、すぐにお知らせください」
など、引き続き連携しながら対処していくという気持ちを、ケースに応じて表現してみましょう。

次回は「おたよりの書き方のポイント」をご紹介します!

著書紹介

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