子どもの味覚の育て方② 給食のメニュー作り&食事環境のポイント

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人の味覚や、食べることが楽しいと思えるかどうかは、離乳期や幼児期に何をどんなふうに食べてきたかで大きく変わります。
子どもたちの味覚の感受性を高め、食事がおいしく楽しいものであると感じさせてあげるためには、園での食生活も大切なポイントになるでしょう。
人気フードアナリストのとけいじ千絵先生に、給食作りや食べさせ方、食育などについてアドバイスを伺いました。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
とけいじ千絵(とけいじ・ちえ)先生

「審食美眼(食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、『審食美眼塾』を主宰するフードアナリスト。企業の商品開発、飲食店のコンサル業務を経て、「味覚」に特化した食育に取り組む。現在は講師、フードライターとして日本経済新聞、日経DUAL等各種メディアで活躍中。とくに、離乳期から味覚を育てることを目的とした講座は、募集開始から数分で毎回満席になるほど、予約のとれない講座として大盛況を呈している。全国フランチの会副会長、ジャパンフードセレクション審査員。
著書に「0~5歳 子どもの味覚の育て方」(日東書院・1,300円+税)がある。

かつお、昆布など天然のだしの味を経験させ、刷り込んであげたい

食の多様化により、子どもたちも糖分や油脂の多い洋食などを食べる機会が増えています。たまに少しだけ、ならいいのですが、甘みや脂肪味はやみつきになる味なので、過剰に食べてしまいがちです。

そうならないためにも、日本の伝統的な味であり、食文化として確立している、だしを給食にも取り入れて、そのおいしさを子どもたちに刷り込んであげましょう。

それには下の図でもわかるように、離乳期での刷り込みが最適です。

かつおだしのマウス実験結果
天然かつおだしにデンプンを添加したものを離乳期と成長期に与えたところ、離乳期に与えたグループにはやみつき行動が表れました。ちなみに顆粒だしでは、天然だしのような豊かな香りが立たないため、やみつき行動は見られませんでした。
(龍谷大学 伏木亨教授の実験より:出典「子どもの味覚の育て方」日東書院)

この時期にだしのうま味を覚えた子どもは、大人になってからも、糖分や油分の多いハイカロリーな食事より、だしのきいた食事を好む可能性が高く、健康な食生活を送れるようになるでしょう。

だしの基本の味は、かつお節と昆布です。この2つを掛け合わせることで、うま味の相乗効果は7倍にもなります。
かつお節は、枯れ節を削ったものがベストですが、荒節を削った「花がつお」でもオッケー。昆布は利尻昆布、真昆布など、味と香りがよく澄んだだしが取れるものを用意しましょう。
時間がないときは、削りかつおの代わりに、かつお節を粉末状にした、だしパックを使ってもいいのですが、砂糖や塩や酵母エキスなどが添加されていない、シンプルな表示のものを選ぶといいですね。

メニューは、汁物や煮物など、だしの香りが出やすい形で食べさせてあげることをおすすめします。

味の濃い調味料は薄める、添加物を控えるなどの工夫を

濃い味のものを食べ続けていると、舌の表面にある、味を感じる部分「味蕾(みらい)」が摩耗して、味覚の感受性が鈍くなってしまいます。

子どもにせっかくだしの味をを刷り込んでも、濃い味のものを与えてしまうと、味覚を妨害してしまうことになるでしょう。また濃い調味料を使うことで、素材本来の味を感じられなくなり、味覚の幅を狭めてしまうことになります。

2歳くらいからは、大人が使う調味料を少しずつ試してもいいですが、たっぷり使うことは避け、薄める工夫をしましょう。

マヨネーズ・・・無糖ヨーグルトと合わせる
ソース・・・・・天然のだしでのばす
ケチャップ・・・カットしたトマトを混ぜる
ドレッシング・・油を混ぜる

このように他の食材で薄めることによって、素材本来の味を妨害する「味の破壊力」をやわらげることができます。

またソーセージ、ベーコンなど、添加物の入った食材はなるべく控えるなどの工夫もしてあげたいですね。

保護者も忙しく、食事に手が回らない人が多いと思いますが、こうした、だしや調味料の知識を、お便りなどで伝えてあげるとよいと思います。

できれば保育士も一緒に食べて、食事の楽しさを伝えることも大切

子どもも大人と同じように、食べ物の味だけでなく、食べているときの雰囲気や気分がいいと、食事を「おいしい」「楽しい」と感じられるものです。

できれば給食は保育士さんも一緒に食べて「おいしいね」「かむとどんな音がする?」などと声をかけてあげることで、子どもは給食の時間を楽しいと感じ、食べることにも積極的になるでしょう。

好き嫌いのある子どもも、保育士さんがおいしそうに食べているのを見て、食べられるようになるケースも。
とくに離乳期には、野菜などに対して「新奇恐怖」といって、警戒して吐き出したりすることがありますが、保育士さんが食べているのを見て安心し、食べられることもあります。

残菜(食べ残し)率にこだわらず、いろんな味を試すこと

保育士さんとしては「子どもになるべく完食させたい」という気持ちが強いと思いますが、私は食べ残しがあってもいいと考えています。

おやつも含めると、子どもの1日の食事4回のうち、2回は保育園で食べさせることになります。

子どもが完食することにこだわりすぎると、どうしても子どもが好みがちな、濃い味の調味料や加工品などを使うメニューに偏りがちになるでしょう。
それよりも、いろいろな味を経験させてあげることが大切だと思います。

次回は「年齢別・食事のポイントと、素材・風味別調理のコツ」をご紹介します。

著書紹介

「0~5歳 子どもの味覚の育て方」
(日東書院・1,300円+税)
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