子どもの味覚の育て方⑤ おやつと食育について

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人の味覚や、食べることが楽しいと思えるかどうかは、離乳期や幼児期に何をどんなふうに食べてきたかで大きく変わります。
子どもたちの味覚の感受性を高め、食事がおいしく楽しいものであると感じさせてあげるためには、園での食生活も大切なポイントになるでしょう。
人気フードアナリストのとけいじ千絵先生に、給食作りや食べさせ方、食育などについてアドバイスを伺いました。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
とけいじ千絵(とけいじ・ちえ)先生

「審食美眼(食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、『審食美眼塾』を主宰するフードアナリスト。企業の商品開発、飲食店のコンサル業務を経て、「味覚」に特化した食育に取り組む。現在は講師、フードライターとして日本経済新聞、日経DUAL等各種メディアで活躍中。とくに、離乳期から味覚を育てることを目的とした講座は、募集開始から数分で毎回満席になるほど、予約のとれない講座として大盛況を呈している。全国フランチの会副会長、ジャパンフードセレクション審査員。
著書に「0~5歳 子どもの味覚の育て方」(日東書院・1,300円+税)がある。

おやつは楽しく食べて、気分転換や休息をするためのもの

離乳期の子どもは胃の大きさが大人の3分の1程度しかないので、おやつ=捕食となります。
幼児期でも、まだまだおやつは捕食としての役割がありますが、それプラス、食事では味わえないわくわく感や、選択の喜びなどを感じさせてあげるといいですね。

味覚の発達を促すような、食事と違う味や香り、盛り付けなどを工夫してあげましょう。
たとえばゼリー&レーズンや、クッキー&くだものなど、2種類あると、違った食感や味が楽しむことができ、おやつの醍醐味を味わえると思います。
あるいは複数のものを大皿に盛って、子どもに好きなものを選ばせてあげるのもおすすめです。

いろいろな食感を経験するために、たまには冷たいアイスもいいと思います。たとえば無糖ヨーグルトに蜂蜜を足して凍らせると、ヘルシーなフローズンヨーグルトになります。カッテージチーズを混ぜると、チーズケーキのような味わいになって、さらにおいしくなりますよ。
ヨーグルトは和食ではとりにくいカルシウムも摂取できます。
なおカルシウム摂取ができるおやつとしては、ちりめんじゃこやしらすなどの小魚を用いて作るのがおすすめです。

食べる時間や量を考えて与え、制限しすぎないことも大切

保護者から「どんなおやつが望ましいのか」「どのくらい与えたらいいのか」などと質問を受けることもあるかもしれません。
保護者が自宅で与えるものは、既製品のおやつでも構わないと思います。既製品を制限しすぎると、子どもが食に対して神経質になってしまうことも。子どもが欲しいままに甘いお菓子をあげるのは問題ですが「月に5回程度は既製品を出す」など、多少は規制をゆるめてもいいのではないでしょうか。
ただし既製品を与えるならば、クッキーやクラッカーなど添加物の入っていないものを。砂糖が多いとカロリー過多になり、虫歯の問題が出てくるので、気をつけましょう。

またおやつを食べすぎるとごはんが進みませんので、量にも気をつけましょう。おやつの1日の摂取カロリーは、1〜2歳で100〜200kcal、3〜5歳で130〜260lkcal程度となります。おやつをあげる時間はなるべく毎日一定にしましょう。

食事やおやつを一緒につくって、食育につなげよう!

園での食事やおやつを通して、食育につなげられると理想的ですね。
食事やおやつを楽しくつくることが楽しい記憶と結びついて「食べる=不快」や「食べる=普通」と感じていた脳の回路を「食べる=楽しい」に変えてあげることができるでしょう。

また料理をして、やわらかい生地をこねたり、野菜を切る音を感じたり、鍋から立ち上る湯気のいい匂いを嗅いだりなど、五感を刺激することで、脳の活性化にもつながります。

小さなうちから調理実習やお手伝いなどをすることで、子どもは成長してからお米をとぐとか、野菜を切るといったことも自然とできるようになり、食の自立も早くなるでしょう。

1歳からでもできる! 年齢別・調理実習のやり方とは?

園でもぜひ調理実習を行ったり、子どもたちに積極的に味見をさせてあげたいですね。1歳からでもできる調理はたくさんあります。どの年齢の子どもも、調理した後ですぐに食べることで、達成感を味わえます。

1歳児なら、ビニール袋にポテトサラダの材料を入れて袋をとじ、もみもみする、キャベツやレタスをちぎる、ピザなどの生地をこねる、ラップを使っておにぎりをにぎる、などのことをやってみましょう。この年齢は、まだ料理と遊びの区別がついていないので、調理に入る前に手を洗い、エプロンをつけて「これから調理をする」という意識をもたせてあげることも大切です。

2歳をすぎたら、ざるとボウルを使ってお米をとぐやり方や、包丁の握り方を教えてあげます。大人が横について、蒸したかぼちゃなど簡単に切れるものを切らせてもいいですね。ほうれん草のごま和えなど工程が少ない調理を最初から最後までやらせてみるのもおすすめです。一工程だけをやらせるなら、フォークでほうれん草とごまを和えるなど、最後の完成に近い工程をやらせてあげると、子ども自身の満足感につながりやすいと思います。

3歳以降なら、火を使った調理をしてみてもいいでしょう。子どもたちが大好きな、ホットケーキがおすすめです。大人が横について、フライパンを火にかけ、油を敷いて、生地を流し込み、片面が焼けたらひっくり返して、、、と完成までの工程を任せてみましょう。

図鑑と実物で、食材のすがたを見比べることも食育に

食育の一環として、食べ物の絵本を読み聞かせしている園も多いと思いますが、私は、野菜や果物の図鑑をおすすめします。図鑑のページと、野菜や果物の本物を両方出して、丸ごとのすがたや断面などを見比べるだけでも、子どもは強く興味を持つようになりますよ。

他にも、食に対するドラマティックな経験をたくさんさせてあげるといいですね。
野菜を育てる、収穫体験をするといったことは実践している園も多いと思いますが、たとえば魚をさばいて見せたり、魚釣りごっこやお店やさんごっこをしたり、バーベキューをしたり、ホットプレートでお餅が焼けて膨らむところを見せたり、炊飯器で焼き芋を作るなど、できる範囲でわくわくする経験をさせてあげることも「食べる=楽しい」と感じさせてあげるきっかけになると思います。

今回でこのシリーズは終了です。お読みいただきありがとうございました。

著書紹介

「0~5歳 子どもの味覚の育て方」
(日東書院・1,300円+税)
とけいじ先生の予約の取れない人気講座が単行本になりました!本書では、離乳期からできる味覚の育て方をご紹介。わかりやすい理論とともにすぐに実践できるレシピも載っています。食育の強い味方にどうぞ☆
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