子どもの生きる力を育てるほめ方、叱り方① 子どもの自己肯定感を育もう

57秒で読めます

57秒で読めます

毎日さまざまな子どもたちと接する中で、上手なほめ方や叱り方がわからず、困っていませんか?
「子どもが言うことを聞いてくれないけれど、もっと厳しくしないとダメ?」「ほめるといいというけれど、悪さをする子をどうほめていいかわからない」など、悩みを抱えている保育士さんも多いようです。
そこで累計480万部を超える人気書籍「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)の著者であり、子育てカウンセラーで心療内科医の明橋大二先生に、保育の現場での子どものほめ方、叱り方のコツを伺いました。
5回シリーズの第一回目となる今回は「子どもが幸せに生きていくために、自己肯定感を育もう!」がテーマです。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
明橋大二(あけはし・だいじ)先生

大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。子育てカウンセラー・心療内科医。国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。著書は「子育てハッピーアドバイス」シリーズなど多数あり。全国での講演会や、テレビ、ラジオ、新聞などメディア出演でも活躍中。
★オフィシャルサイト http://www.akehashi.com/

子どもをほめたり、叱ったりするのは、自己肯定感を育てるため

私は、子どもをほめたり、叱ったりするのは、単に大人の言うことを聞かせるためではなく「この先子どもが幸せに生きていけるようにするため」だと思っています。
では、子どもはどうしたら幸せを感じられるかというと、自己肯定感を持つことにつきるでしょう。

自己肯定感というのは「自分は生きている価値がある」「私は大切な存在だ」「生きてていいんだ」という気持ちのことです。
持っている能力や状況などに対する自信ではなくて、もっと根っこの部分にある、自分の存在や、命に対する自信だといえます。

実は、今の日本の子どもたちは、この自己肯定感がとても低くなっている、といわれています。
子どもの悩み電話相談を受けている方に聞いた話ですが、以前は子どもからの電話は、学校の人間関係の相談や性の悩みなどが多かったそうですが、最近非常に増えているのが「死にたい」とか「生きているのが辛い」という悩みなのだそうです。ある意味、子どもたちの状況が深刻化していると思いませんか。
これは、子どもの自己肯定感が育てられにくくなっているからだと思います。

保育士さんや保護者など、子どもに関わる大人は、子どもの自己肯定感を育むように支援していくことが大切です。
そのためには、大人の側も自己肯定感を持つことが必要となります。その話もシリーズの後半で紹介する予定です。

ポイントは、いいところもだめなところも受け入れること

自己肯定感を育てるためのポイントは、子どものいいところもだめなところも全部ひっくるめて受け入れて、支えることです。

「悪いところも受け入れてしまっていいの?」と思われるかもしれません。でも、たとえば恋人に置き換えて考えてみてください。
自分のいいところや、彼にとって都合のいいところは受け入れてくれるけれど、自分のだめなところや、彼にとって都合の悪いところは受け入れてくれないような人では、安心して付き合えませんよね。
自分のいいところも、だめなところも理解して、愛してくれる人となら、安心して付き合えると思います。
子どもも同じで、いいところもだめなところも受け入れてもらって初めて安心し、自己肯定感が育つのです。

保育の現場では、行儀のいい子がほめられ、悪さをする子は叱られることが多いと思います。もちろん、いけないことは注意しないといけませんが、子どもは本来、悪さやいたずらをするものです。注意すべきことはしっかり伝えながら、そういうところも含めて子どもの人格を受け入れることで、子どもは初めて安心できるものなのだと、知って頂きたいと思います。

今は、保護者が仕事で忙しくて子どもと接する時間が少ないので、家庭で子どもが甘えたり、自分を出せる機会が減っています。その分、園では思う存分に自分のやりたいことをやる子どももいるでしょう。それはある意味、子どもが本来の姿を出せている証拠なので、好ましいことだと思います。
だから「他の先生にはいうことを聞くのに、私の前では悪さばかりして、、、」と悩んでいる保育士さんも、自信をもってください。子どもが自分自分をさらけ出せる保育士さんがいることは、とても意味のあることだからです。

大人のいうことを聞く「いい子」ほど心配

逆に、いわゆる手のかからない「いい子」タイプが心配です。こういう子は、いいところをほめてもらった経験はしているけれど、だめなところや悪いところを受け入れてもらった経験がないので、一度だめなところを出したら親や先生に嫌われるのではないかと思い、いい子を演じているのです。でもそれは決して本当の姿ではなく、背伸びしたり我慢したりしているので、そのまま大きくなって思春期になると、心のトラブルを起こすことも多いのです。

本来、子どもで手のかからないいい子なんて、あるはずないのです。手のかからない子がいたら、保育士さんは、我慢していないかとか、周りに気を使いすぎていないかな、などと気づいて声をかけるといいでしょう。

次回は「子どもの自己肯定感を育てる、ほめ方のポイント」をご紹介します。

著書紹介

「0~3歳の これで安心 子育てハッピーアドバイス」
(1万年堂出版・1,404円+税)
0~3歳の時期にいちばん大切なことを、分かりやすくアドバイスした、“心の子育て決定版”です。イラストやまんががたくさん載っていて、読みやすく、わかりやすい一冊。親(保育者側)の自己肯定感アップのためのレッスン法のほか、赤ちゃんが泣きやまない、イヤイヤ期などの育児の悩みQ&Aにも答えます。保育の強い味方!!☆
★ご購入はコチラ★

カテゴリを選択する