子どもの生きる力を育てるほめ方、叱り方② ほめ方のポイント

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毎日さまざまな子どもたちと接する中で、上手なほめ方や叱り方がわからず、困っていませんか?
「子どもが言うことを聞いてくれないけれど、もっと厳しくしないとダメ?」「ほめるといいというけれど、悪さをする子をどうほめていいかわからない」など、悩みを抱えている保育士さんも多いようです。
そこで累計480万部を超える人気書籍「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)の著者であり、子育てカウンセラーで心療内科医の明橋大二先生に、保育の現場での子どものほめ方、叱り方のコツを伺いました。
5回シリーズの第二回目となる今回は「子どもの自己肯定感を育てる、ほめ方のポイント」がテーマです。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
明橋大二(あけはし・だいじ)先生

大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。子育てカウンセラー・心療内科医。国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。著書は「子育てハッピーアドバイス」シリーズなど多数あり。全国での講演会や、テレビ、ラジオ、新聞などメディア出演でも活躍中。
★オフィシャルサイト http://www.akehashi.com/

子どもの自己肯定感を育てるほめ方・3つのポイント

第一回でもお話しましたが、このシリーズでは、学力を伸ばすためとか、いうことを聞かせるためにほめるのではなく、子どもの自己肯定感を育てるためのほめ方をご紹介します。
そのためのポイントを3つあげてみましょう。

1つめは「できないところより、できているところに注目する」です。
大人は、つい子どもができないところばかりに注目してしまいます。たとえばテストで60点とったとしたら、どこを見るかというとまず×のついたところで、⚪︎のところはほとんどスルーするでしょう。でも、6割はできているわけですから、そこをほめて、あとの4割についてだけ注意をすればいいのです。とくに自信を失っている子、やる気を失っている子には、できないところより、できたところを重点的にほめていくことが大切です。

2つめは「できて当たり前ではなく、できなくて当たり前と思う」です。
「年長だからこれくらい当たり前」などと思うと、せっかくできたこともほめられないし、できてないことを叱ることになります。
「最近、子どもを叱ってばかりかも…」と感じたなら、子どもへの要求レベルを下げるといいですよ。すると「できなくても仕方がない」と思えて、できたときにしっかりほめることができるでしょう。

たとえばご飯を食べているのも、当たり前ではありません。中には食べられない子もいる中で、出したごはんをちゃんと食べられるのは、素晴らしいことですから、そこをほめましょう。
とくにほめることが見つからないと思ったら、朝ちゃんと起きて保育園に来ているだけでもがんばっているのだから、そこをほめるといいでしょう。

3つめは「比較するなら以前のその子と」です。
子どもの成長の過程はそれぞれ違い、得意不得意も違います。ですから「あの子はあんなにできるのに」とか「他のクラスはできているのに、どうしてあなたたちは」などと比較しても、子どもが伸びるどころか、やる気を失わせてしまうかもしれず、意味がありません。

比べるならば、以前のその子と比較すればいいのです。たとえば半年前や、1年前のことを思い出して「あのときはできなかったけど、今はこんなことができるようになったね」などとほめれば、もちろん子どもはうれしいですし、保育士さんも子どもたちの成長を感じられて、喜びを共有できるでしょう。

「大好き」という気持ちが伝わるほめ方を意識しよう!

保育園では、子どもがルールを守ることや、友達とうまくやれることをほめることがあると思います。
ルールを守ることも友達とうまくやることも、その根っことして「相手のことを考える」「他人に優しくなる」ということが必要です。

他人に優しくするには、まず自分が優しくしてもらわないといけません。
すぐにキレる子とか、わざと友達をいじめる子は、もともとの性質の問題もあるかもしれませんが、家庭などで自分が同じように攻撃されていて、ストレスをためていることが原因であることも多いものです。自分が大事にされていないと感じているから、人を大事にできないんですね。

そういう子には、ルールを守ることを教えるのと同時に、その子ができることをほめて「大好きだよ」という気持ちを伝えましょう。そうしてその子が「大事にされている」という気持ちを持てば、やがてルールを守ったり、友達に優しくしたりすることができるようになります。

逆にあまり本音を出さない、いい子すぎるような子に対しても、ほめ方にはコツがいります。こういう子どもは、行儀のよい行動だけをほめていると、「もっといい子でいなくては」と感じてしまうことがあるからです。

ですからそういう子に対しては、ふとその子が自分の気持ちを出したときや、失敗してしまったときに、それをすかさずほめることです。
たとえば、普段はすごく優しくて自分の気持ちを言わない子がたまに怒ったときに「あなたもイライラしたんだね、普段はあまり怒らないけどがまんしていたのかな。いやなときはいやだって言っていいんだよ」などと言ってみましょう。失敗したときは「あなたも失敗することがあるんだね。そういうところも人間らしくていいね。先生ほっとしたよ」などと声をかけると、その子は安心できると思います。

一番有効で、簡単なほめ言葉は「ありがとう」!

一番有効で、一番簡単なほめ言葉は、「ありがとう」です。
大人でも「ありがとう」と言われると、自分の存在価値が認められたと感じ、うれしくなりますね。子ども一緒で「ありがとう、⚪︎⚪︎くんのおかげで助かったよ」などと言われると、どんな子でもうれしいものです。

以前、富山県のある小学校で「大人からどういう言葉をかけられたらうれしいか」という内容のアンケートとったところ、トップが「ありがとう」でした。「頭がいいね」「かっこいいね」などと言われるよりも、子どもはやっぱり「ありがとう」と言われることがうれしいのです。

ところが大人は案外、子どもには「ありがとう」と言っていないものです。ちょっとしたことでも、積極的に「ありがとう」と言って、子どもに「自分はここにいていいんだ」「必要とされているんだ」と感じさせたいですね。

次回は「子どもの自己肯定感を育てる、叱り方のポイント」をご紹介します。

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