子どもの生きる力を育てるほめ方、叱り方③ 叱り方のポイント

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毎日さまざまな子どもたちと接する中で、上手なほめ方や叱り方がわからず、困っていませんか?
「子どもが言うことを聞いてくれないけれど、もっと厳しくしないとダメ?」「ほめるといいというけれど、悪さをする子をどうほめていいかわからない」など、悩みを抱えている保育士さんも多いようです。
そこで累計480万部を超える人気書籍「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)の著者であり、子育てカウンセラーで心療内科医の明橋大二先生に、保育の現場での子どものほめ方、叱り方のコツを伺いました。
5回シリーズの第三回目となる今回は「子どもの自己肯定感を育てる、叱り方のポイント」がテーマです。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
明橋大二(あけはし・だいじ)先生

大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。子育てカウンセラー・心療内科医。国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。著書は「子育てハッピーアドバイス」シリーズなど多数あり。全国での講演会や、テレビ、ラジオ、新聞などメディア出演でも活躍中。
★オフィシャルサイト http://www.akehashi.com/

子どもを叱るとは、正しい行動を教えること

叱るというと、大声でどなるとか、感情的に否定するといったイメージを持っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。
叱るとは、子どもに正しい行動を教えることです。

ですから別に大声で叱る必要はありませんし、ヒステリックにならなくてもいいのです。逆にそうなればなるほど、子どもは頭が真っ白になり、何を言われているのかわからなくなってしまいます。

車道に飛び出したとか、火遊びをしたなど、命に関わるようなことをした際には、ある程度厳しく言い聞かせてもいいと思います。
しかし、そうではない日々のこと、たとえば歯磨きをしていないとか、着替えが遅いとかいうことまで激しく叱る必要はありません。
ようは、子どもにきちんと伝わればいいのです。

子どもにきちんと伝わる、叱り方のポイント4つ

叱るときは、以下の4点をふまえることで、子どもにきちんと伝わり、子どもの自己肯定感を育てることができます。

1つめは、注意をするときは子どもを止めて、目を合わせ、簡潔にきっぱりと言うことです。子どもの意識をこちらに向けて、しっかり伝えることができます。
よく、遠くから大声張り上げて叱る人がいますが、それでは子どもには聞こえていません。くどくど言わないことも大切です。

2つめは、正しい行動を教えることです。たとえば「人のものを勝手に取ってはだめ」と言われても、子どもは友達のものを貸してほしいときにどうすればよいかわからないので、また同じことを繰り返すかもしれません。
そこで「人にものを借りたいときは『貸して』と言おうね」と正しい行動を教えましょう。
すると子どもは正しいやり方がわかるようになりますし、子どもの行動を否定しなくて済みます。

3つめは「あなたメッセージ」ではなく「私メッセージ」をこころがけること。気持ちを伝えるときに「あなたはだめよ」とか「あなたはおかしい」など子どもを主語にして叱ると人格否定になってしまうので「私」を主語にして話しましょう。
「先生心配したよ」「先生悲しいな」などと言われたほうが、子どもは素直に「悪いことをしたな」と感じるものです。
いつもとはいかないかもしれませんが、こういう伝え方もあると覚えておいてください。

4つめですが、以上のような叱り方をしても、子どもは一度に理解することは難しいので、根気よく繰り返すことは必要です。考えてみれば、我々大人だって、子どものころは何度も大人から同じことを注意されて、ちょっとずつできるようになってきましたよね。ですから、子どもには何度も繰り返し教えてることが大切です。

叱ることによっても、子どもの自己肯定感を育てられる

叱りすぎは子どもの自己肯定感を損ねることになりますが、逆に全然叱らないこともまた、自己肯定感を損ねてしまう場合があります。

思春期に非行に走ったある子どもは、「一度でいいから親父に真剣に叱って欲しかった」と言いました。
その子の父親は叱りも、ほめもせず、子どもに対して無関心だったのです。そんな状況では、子どもは自分が大切にされていると感じることはできません。
いけないことに対しては、適切に叱ることが、子どもの自己肯定感を育てることにつながります。
子どもの悪さについて叱るときは、たとえば他の子を叩いたら「叩いたらいけないよ」などとしっかり伝えますが、そのあとはまた「一緒に遊ぼうね」などと声をかけ、元どおりに遊ぶのです。
子どもは、叱られると「先生に嫌われてしまったかな」と思いますが、先生が気分を切り変えてまた遊ぶことで「こんな自分も受け入れてもらえた」と安心できるのです。

「がんばれ」より「がんばってるね」と声をかけよう

子どもの自己肯定感を育てる声かけとして「がんばってるね」もおすすめです。大人はつい、何かにつけて子どもに「がんばれ」と言ってしまうのですが、それでは今のがんばりを否定してしまうことになります。
またすでにがんばりすぎている子どもの場合は、これ以上がんばれないでしょう。
ですから「がんばれ」より「がんばってるね」と声をかけましょう。

次回は「保護者の自己肯定感を育てるためにできること」をご紹介します。

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