子どもの生きる力を育てるほめ方、叱り方④ 保護者の自己肯定感を育てるためにできること

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毎日さまざまな子どもたちと接する中で、上手なほめ方や叱り方がわからず、困っていませんか?
「子どもが言うことを聞いてくれないけれど、もっと厳しくしないとダメ?」「ほめるといいというけれど、悪さをする子をどうほめていいかわからない」など、悩みを抱えている保育士さんも多いようです。
そこで累計480万部を超える人気書籍「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)の著者であり、子育てカウンセラーで心療内科医の明橋大二先生に、保育の現場での子どものほめ方、叱り方のコツを伺いました。
5回シリーズの第四回目となる今回は「保護者の自己肯定感を育てるためにできること」がテーマです。

取材・文/野中真規子

PROFILE:
明橋大二(あけはし・だいじ)先生

大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。子育てカウンセラー・心療内科医。国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。著書は「子育てハッピーアドバイス」シリーズなど多数あり。全国での講演会や、テレビ、ラジオ、新聞などメディア出演でも活躍中。
★オフィシャルサイト http://www.akehashi.com/

親御さんの自己肯定感を育むことも、保育士さんの大切な仕事

私は全国各地の講演で、子どもの自己肯定感を育てるための話をしていますが、そこで保護者の方々からよく出る質問があります。

それは「子どもの自己肯定感が大切なことはわかりましたが、話を聞くうちに、親である自分の自己肯定感が育まれていないことがわかってしまった。そんな親でも、子どもの自己肯定感を育てることができるのでしょうか」というものです。

親御さんが自分の自己肯定感が低いと感じている場合は、自分のことを認めず、自分を責めているので、そんな状態で子どもをほめることは難しいこともあります。

たとえば子どもをつい感情的に叱ってしまうのは、親御さんが自分で自分を追い詰めているからです。思うようにできない自分が苦しくなって、子どものせいにしてしまうのです。

また保育園で何か起きたときなどに、自分に非があっても絶対にみとめないような親御さんも、本当は自己肯定感が低いのです。
逆に、自己肯定感のある人は、自分の非を認めることができます。非を認められないのは、コンプレックスを抱えていて気持ちがいっぱいいっぱいだから。「非を認めてしまったら、とてもじゃないが子育てなんてできない」というギリギリの状態だから、自分をガードしてしまうのです。

こうした親御さんたちが自分を認められるよう、親の自己肯定感を高めていくことも、保育士さんの大切な仕事のひとつだと私は思っています。

「子ども支援」の目標は、ただひとつ。子どもの自己肯定感を育てることに尽きますが「子育て支援」の目的は、親御さん、とくにお母さんの自己肯定感を育てることに尽きるでしょう。親御さんの自己肯定感が育てば、おのずと子どもの自己肯定感を育めるようになります。

子どもに接するときと同様に、親御さんを認め、ほめること

では、保育士さんはどうしたら親御さんの自己肯定感を育めるのでしょう。それは、第一回から第三回まででご紹介した、子どもの自己肯定感を育てるためのことと同じことを、親御さんにもやっていけばいいのです。

たとえば「できないところではなく、できたところをほめる」
親御さんは「子どものごはんは適当」「いつも子どもに叱ってばかり」など、自分ができていないことを自分で責めがちです。
でも、朝ちゃんと支度をして子どもにごはんを食べさせ、保育園に連れてきているし、衣類も洗濯している。そういうところを「親だからできて当たり前」だと思わず、ほめていくのです。

とくに初めての子どもの場合、子どもが1歳なら親も1歳。「わからなくて当然。親も子どもと一緒に少しずつ成長していけばいいんですよ」といったことを、お便りに書いたり、声をかけましょう。

「親ならできて当たり前」という期待値を下げる

「親御さんに対する期待値を下げること」も大切です。
家事などができていない親御さんの背景を想像することも大切です。
実はお母さんがうつ病など、いろんな事情でごはんや洗濯が思うようにできないというケースも少なくありません。働くお母さんのメンタルの病気は非常に増えています。
あるいは、子どもをつい感情的に叱ってしまうお母さんも、自分自身がDVや、職場でモラルハラスメントなどを受けたりしていてストレスをためていることがあるかもしれません。

そうして親御さんへの期待値を下げると「それでも保育園に連れてくるだけがんばっている」と感じられるでしょう。

比べるなら、以前のその人と比べて、親としての成長をほめる

また「比べるなら以前のその人と」を意識することも大切です。
親御さんは、ただでさえ自分を他の親と比較しがちです。「あのお母さんは優しそうでだけど、私は毎日叱っている」と思っている人も多いのですが、本当に家でもおだやかで、いつもにこにこしているような親御さんは、なかなかいないでしょう。

ですから表面だけ比較しても意味がないのです。
どんな親御さんでも、以前と比べると、少しは親として成長した部分があるはず。「お母さん、がんばってますね」「いつも連絡帳で知らせてくれてありがとうございます」などがんばりを認めましょう。

次回は「保育士自身の自己肯定感を育てるためにできること」をご紹介します。

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