2018.07.03

特集企画

自分でできる子に育てるモンテッソーリ流子育て② ―子どもの自発性を高める子育ての実践方法

保護者や保育士の頭を悩ませる、子どものイヤイヤ期。
上手に楽しく乗り越えるために、モンテッソーリ教育のメソッドは役立ちます。
第2回目となる今回は、『モンテッソーリ流「自分でできる子」の育て方』(日本実業出版社)の著者で保育士でもある神成美輝さんに“モンテッソーリ流子育て”を家庭で手軽に実践する方法についてお話をうかがいました。
イヤイヤ期の子どもへの接し方、やってはいけないことなどを紹介します。

取材・文/白石りさ

Prifile:神成美輝先生

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保育士、幼稚園教諭2種。幼稚園に4年間、病児保育室に2年間勤務した後、モンテッソーリ教育で有名な「早稲田フロンティアキッズ」に7年間勤務。2009年12月に「フロンティアキッズ河田町」開設に伴い、園長に就任。2012年、モンテッソーリ教師の資格を取得し「メデュケア モンテッソーリ ナーサリースクール」の指導者として勤務。モンテッソーリの現場に精通し、子どもだけでなく保護者への啓発にも力を入れている。現在、1歳と3歳の子どもがいる。

モンテッソーリ流子育ての実践方法

モンテッソーリ教育は、大人が子どもに教え込む教育ではありません。子どもは何度も試行錯誤を繰り返しながら、できることが増えていきます。
大人はあれこれ口出しせずに、子どもの能力を信じて見守っていくことが、モンテッソーリ流子育てでは重要です。子どもの内なる能力を信じ、伸ばすために大人は環境を整えて、サポート役に徹していきましょう。

私はモンテッソーリ流子育てで、3つのステップを提案しています。
まずは子どもを“知る”ということ。
子どものイヤイヤ期は、環境に対して敏感になる時期です。まずは第一回めで紹介した、子どもの敏感期について理解しておきましょう。そして、子どもをよく観察して“見守る”ことを心がけてください。さらに子どもに適切に声をかけ、働きかける“ときどき助ける”ことも重要です。

子どもの敏感期は0~6歳頃に多く見られます。例えば2ヶ月の赤ちゃんには色の敏感期がやってきます。
この時期はまだあまり目がみえないので、グラーデーションの吊るすおもちゃを用意すると、集中して見ることができるでしょう。また、2~3歳になると、大きいものと小さいものを分けて並べていたり、色別に並べていたり、自分の中で何かしらルールを設けるようになります。そういったこだわりを理解して、見守り、ときどきサポートしてあげてください。

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我が家の子どもも今1歳と3歳なので、ちょうど社会的行動の敏感期、真っただ中です。
現在、子どもたちに実践しているのはお手伝いをさせることです。モンテッソーリ流子育てでは、子どもの自発性を高めるために、たくさん手を動かすことを推奨しています。3歳の子どもには日頃からヨーグルトにはちみつをかけたり、ゴマすりなどを手伝ってもらっています。1歳の子どもには、私が掃除機をかけているとき、端っこで粘着ローラーをかけてもらっています。どれも簡単なことですが、自分でできると「やったー!」と喜び、自分でできたという体験を積み重ねています。

朝の時間帯は忙しいので、子どもに手伝わせると余計に時間がかかると思いがちですが、心に余裕を持ってお手伝いさせて、できたら「ありがとう」と感謝します。すると、嬉しくなって自発的にいろんなことをやりたくなる子どもに育つのです。

子どもの苦手を好きに変える方法

保育士をしていると、親御さんからトイレトレーニングの相談を受けることが多いです。
親子でがんばっているのに成果が出ないのは、もしかすると環境が整っていないからかもしれません。
例えば、上下繋がっているロンパースは自分で脱ぎ着できませんし、ジーンズを穿かせていると固くて自分で上げ下ろしできません。この時期はとにかく子どもが自分で上げ下ろしできる伸びの良い柔らかい素材でできたズボンだと良いですね。
トイレトレーニングは脱いで、排泄をして、穿くという一連の作業ができることが目標です。そのため、モンテッソーリ教育の幼稚園や保育園では、トイレの中に小さなイスを置いています。子どもがイスに座ると脱ぎ着がしやすくなるからです。
我が家でも牛乳パックを使って子ども用のイスを作り、トイレに置いています。

また、トイレトレーニングを成功させるために、子どもをご褒美で釣るのはおすすめできません。
ご褒美を知ってしまうと、いつも何かできるたびにご褒美を欲しがる子どもになりかねません。まずは、子どもが自らトイレに行きたいと思わせることが大切です。
うちの子もトイレに行くのを嫌がったので、いろいろ試行錯誤して、家中に線路に見立てたシールテープをを貼ったんですね。息子は電車が好きなので、「トイレ駅まで行こう」と言ったら、トイレに行くことが楽しみになりました。子どもの好きなことに絡めるようにすると、嫌なことにも興味を持つきっかけになると思います。

他にも、片付けが苦手な子どもだったら、「どうやったら片付けが好きなようになるか」と考えるのがモンテッソーリ流です。
子どもは赤や青など、色分けをすることが好きです。例えばそれを片付けに応用して、色別にかごを用意してみましょう。
「赤いものは赤いかごに入れてね」というと、片付けするのが楽しくなって、自発的に片付けるようになります。単に「片付けなさい」と促すのではなく、子どもが興味を持つためにひと工夫加えるのが、「モンテッソーリ流子育て」です。

子どもにやってはいけないこと

子どもが親に反抗するようになるのは、やりたいことがあるのにやらせてくれないからです。
子どもは敏感期になると、何かにこだわり、ひとつのことに熱中しやすくなります。そんな子どもに対して「ダメ!」と頭ごなしに禁止するのはNGです。まずは、やりたいことが何なのかを親が知った上で、ルールを決めて、できる限り子どもがやりたいようにやらせてあげましょう。
特にハサミなど危険なものを使いたがるときには、ルール(人に刃を向けてはいけないなど)を伝え最初は大人が見守ってあげましょう。

また、子どもがパズルをやっていて、違うピースをはめようとしている。そんなときに、大人がすぐに正しいピースを教えてしまうと、子どもが自分で考える機会を奪ってしまうことになります。パズルならば最後の一つがはまらないと、必ずどこかが違うと気づきます。その気付きが大切です。
「これは違う。あ、これははまった」子どもは試行錯誤を繰り返して、だんだんと自分でできるようになっていくのです。それなのに、隣で大人がうるさく言ってきたら「もう、やーめた」と諦めてしまうことも。子どもは失敗からたくさんのことを学ぶのです。

最近は子どもを小さいうちから習い事に通わせている親御さんが増えています。でも、子どもに興味がなければ、無理に通わせることはないと思います。私も一時期、息子をリトミック教室に通わせていたのですが、ずっと走り回っていてばかりで興味を示さなかったので、結局辞めてしまいました。すごく楽しそうにしていたら向いていると思いますが、習わせても意味がないことは、スパッと辞める勇気も必要だと思います。もし、子どもが自らやりたいと言い出したときには、できる限り環境を用意してあげてくださいね。

次回は、モンテッソーリ教育の保育園で取り入れていることを紹介します。

知る、見守る、ときどき助ける
モンテッソーリ流「自分でできる子」の育て方
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著者・神成美輝
定価 1400円+税
日本実業出版社

欧米で実績のあるモンテッソーリ流の子育てメソッドを紹介。
イヤイヤ期に突入した子どものこだわりやいたずらに意味があることに気づき、ちょっとしたコツを知ることで、子育ては今よりもっと楽しくなるはず。
子どもが環境に対して敏感になる時期を「知る」、子どもをきちんと観察して「見守る」、子どもに適切に声をかけて「ときどき助ける」を実践することで、子どもの自主性、独立心、知的好奇心を育みましょう。

 

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