保育士になって初めての転職で、尊敬できる同僚に出会えた話。

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Profile ゆきせんせい

現役保育士。元は一般事務員だったが、3人の息子が大きくなったのを機に一念発起、資格を取り、保育士として働き始める。毎日、保育園の子どもたちからは元気を一杯もらって、保護者のパパやママたちには子育ての先輩としてエールを送っている。

 
私は、保育士になった最初の職場でひどいいじめにあいました。
そこから離れられればいいと思う一心で決めた転職先でしたので、さほど期待していなかったというのが正直な気持ちでした。

けれども、その職場で思いがけず良い方と出会いお仕事をさせていただくことができたのです。
今でも私の「師」とも呼べるその方に、最近久しぶりに会ってお話する機会がありました。
懐かしくも大切な思い出を振り返っていたら、ぜひ記事にしてみたくなりまして、少し昔話をさせていただければなと思います。

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いつも笑顔で、ほめることが人一倍上手だった

その方は何より明るい方で、彼女の笑っている顔以外が思いつかないほどでした。
私がテンパって、余裕がなくなっているときにも「だいじょうぶですって」って大きな口を開けて笑う姿を見ると、本当に何とかなりそうな気がしたものです。
子どもにも常に笑顔で、彼女が怒っている姿が思い出せません。
つい私が怒ってしまうような場面でも常に冷静で笑顔でフォローをしてくれました。

社会人保育士の私は、この時まだ保育士2年目。未熟な私は彼女の技術を見てよくまねしていました。
特に彼女のほめる技術は、誰にも負けないんじゃないかと思います。

離乳食が終わってから幼児期に入るまでの子どもは、イヤイヤ期と呼ばれる時期に入り、偏食の強い子も多いです。
あれもダメ、これもダメといって、何一つ口にできない子もいますし、特に野菜が苦手な子が多いですね。緑色をしていたらすべてダメっていう子もいます。
白いご飯しか受け付けない子も珍しくない。
こんな時、保育士として働いてるとつい「なんで食べないの、ちゃんとたべなさい」って言っちゃうようなところですが、その方は違いました。
スプーンにほんの一口分だけのせると「これ食べると、大きくなるんだよ~、あ、もうちょっと大きくなっちゃうかも!」なんてオーバーアクションで言っていると、ついつられて食べる子が出てきます。
そして、子どもががんばって食べられたらものすごいほめる。
「すごいね~」「かっこいいね~」「大きくなったね~」「かわいくなったね~」なんて褒められているうちに、あんなに食べられなかった子のお皿が空っぽになって「おかわり~」って言ったりするとこれまた大げさにほめる。

そんな『ほめたおし』で常に保育室は明るく、笑顔があふれていました。

実際にひとりの母親として子育てをしていても思うのですが、ほめるのって本当に難しい。
子どもの行動は、良いところよりも気になるところが目に付くものですし、漠然としたほめ方になってしまいます。
でも、ほめる理由を先に作っておいて、そしてほめる。この方法なら、ほめる箇所を間違えることもありませんし、必ずほめることができます。

ものづくりが苦手だった私は、彼女のお陰で製作が楽しくなった

もう一つ彼女に助けられたのが、物を作るということに対する苦手意識が払拭されたことです。
私は学生時代から、図工や家庭科などのものを作ることがとても苦手でした。
自分で作るものはうまくいった試しがありませんでしたから、手先が器用だった父が雑誌の付録なんかもすべて作ってくれたものです。
なので、製作するということからはできるだけ逃げてきました。

しかし彼女は絵がうまくてさらに何を作らせても上手にできます。
クオリティの高いものが彼女の手から生み出されていくのを、横で見られたのはとってもハッピーでした。
これを製作として、子どもに提供できるように数を作成するのは私の仕事。
同じ色で、同じサイズの、同じ形のものをいくつも作るのは単純作業ですから手先が器用な私でもなんとかなります。
こうやって1年間。彼女の作るものを量産しているうちに、効率よくできるようになり、形もうまくできるようになり、随分と上達していきました。

担任が変わり彼女と一緒に仕事をしなくなっても、一度物を作ることに対しての苦手意識がなくなると次々と手が動くようになります。
フリマアプリなどで販売しているペープサートや、おままごとの道具を購入し、どのように作られているのかを確認したら、あとは作るのは簡単です。
いくつかそうやって作っているうちに、今度はこんなものができそうだと考えたものが、自分の手で作ることができるようになってきました。
苦手意識がなくなれば、できることってこんなに広がるんだなと、私自身が学ばせていただくことができました。

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出会いが、自分を変えてくれた

この2つのことは、私が保育士として今後もやっていけると感じる大きな出来事だったのに、時がたってすっかり忘れてしまっていました。
最近では怒ってばかりだったんじゃないか、ほめることを忘れていたんじゃないか、できないことに「なぜ」と言ってしまっていたんじゃないか。
自分の保育を振り返るのにとても重要な時間になりました。

そして、あの頃は大変でも楽しかった保育の仕事がちょっと苦しく感じていたのは、このせいかもしれないと思うことができました。
明日からの保育を見直して、笑顔でほめてできることを見つけて増やしていけるような、そんな保育をしたいと心から思いました。

今の職場は、保育士同士の仲がとてもよくて、離職後もよくご飯を食べたり子ども同士で遊ばせたりしてお付き合いが続いている方が多いのです。
そんな素敵な出会いができたことに感謝し、私の保育士としての師ともいうべき彼女に出会えたことに感謝したいなと思います。
転職は勇気がいるものですが、あなたにもこんな出会いがあるかもしれないと考えるとワクワクしませんか?

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