【連載特別編】子どもにありがちな困った行動の対処法~子育てカウンセラー明橋大二先生

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保育園の役割のひとつに、子どもに対人関係のルールや生活習慣を教えていく「しつけ」がありますが、そのために厳しい口調で諭したり、できないことを叱ったりするのではなく、子どもがわかりやすいように、年齢ごとに適した教え方をすることが大切です。
累計490万部を超える人気書籍「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)の著者であり、子育てカウンセラーで心療内科医の明橋大二先生に、年齢別の子どもの接し方について伺いました。
全5回シリーズの最終回となる今回は「子どもにありがちな困った行動の対処法」をご紹介します。

PROFILE:
明橋大二(あけはし・だいじ)先生

大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。子育てカウンセラー・心療内科医。国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。著書は「子育てハッピーアドバイス」シリーズなど多数あり。また、一般社団法人HATの共同代表として、自己肯定感を育む子育てを広めるため、支援者育成に当たっている。
明橋大二オフィシャルサイト

よく泣く子どもは感受性が豊かで、気持ちをちゃんと表現できる子

時々「泣く子は弱虫」とか「男の子なんだから泣いちゃダメでしょう!」などと叱る大人がいますが、子どもが泣くのは感受性が豊かだからこそ。
あるいは人一倍感覚が敏感だからです。坂本龍馬などの偉人でも、子どもの頃は泣き虫だった人が多いものです。

いずれにせよ、子ども自身は辛くて泣いているのに、それを叱れば余計に泣きたくなり、悪循環になるでしょう。

子ども時代に、気持ちをありのままに表現できることは、とても大切なことです。その気持ちを周囲の大人が認めることで、子どもは「自分の気持ちを大切にしていいんだ」「自分はここにいていいんだ」と感じ、自己肯定感が育まれます。
ですから、子どもが泣いたときは、まずその気持ちに共感し、抱っこしたり、なでたり、あるいは「辛かったね」などと声をかけましょう。

それを繰り返し伝えることで、子どもは心の底から安心し、やがて自分で気持ちをコントロールできるようになるものです。

友達に喧嘩を売る、すぐにキレる子どもは、原因別に対処しよう

わがままで人の気持ちを考えない行動をするとか、ルールをなかなか守れない子の場合、原因は2通りあります。

ルールそのものを教えられていないケース

過保護で何をしてもよいと言われて育ったような子どもも、これにあてはまります。
こうした子どもは、ルールや人の気持ちを考えることの大切さを教えさえすれば、守れるようになりますので、根気よく教えましょう。

家庭で虐待されたり、いじめを受けたりしたトラウマや、家庭であまり構われていないケース

こうした子どもは、いけないとわかっていて、わざとルールをやぶったり、友達をいじめたりするのが特徴です。
しかしその背景には、虐待などで辛い思いをしたり、かまってもらえず寂しさを抱えており、常に心がもやもやしている気持ちがあります。そのもやもやを、ルールをやぶったり、キレたり、友達をいじめることで発散するのです。
こうした子どもは、ヒステリックに叱ると余計に暴れる悪循環となってしまうので、「友達をいきなり叩くのはよくないよ」などといけないことはしっかりと叱りつつ「何か我慢していることあるの?」と質問してみましょう。
そして「家で怒られてばかりいて‥」などと話すようなら、話をよく聞き、現状を把握した上で、園長にも相談するなどして対処法を考えましょう。

登園しぶりで、朝泣いたり、保護者となかなか離れられない

4月、5月に多い登園しぶりですが、夏になってもまだしぶる子どもはいます。
その原因は2通りあります。

家庭などで十分甘えられていないというケース

いわゆる親離れができていない場合です。
子どもが不安を乗り越えられるのは、愛情をかけてもらった安心感があるからです。じゅうぶんに甘えることができていない子どもは、新しい環境に不安を感じ、なかなかなじむことができないのです。
とくに下の子が生まれたばかりであまり構われていなかったり、保護者が入院しているとか、仕事が忙しいなどの原因で甘えることを経験していない子どもは、年中、年長になっても登園の際、赤ちゃん返りのような表現をすることがあります。

人一倍感覚が敏感であるために、新たな環境に慣れるのに時間が掛かるケース

こうした敏感な子どもはHSC(ハイリーセンシティブチャイルド)と呼ばれ、慣れない環境において不安が強く、一つひとつのことを確認しながらでないと進めないのが特徴です。

いずれのケースも子どもは不安を感じているので、できるだけ子どものペースを尊重しましょう。たとえば保護者と離れる前に10秒だけ抱きしめてもらう、保護者にしばらく見守ってもらう、など。
無理矢理引き離したり、泣くのを叱ったりすると、子どもは余計に登園がいやになってしまうので、温かく見守りましょう。

そのためには親御さんとの協力も大切です。
実は、子どもの自己肯定感を育むためには、親御さん自身も自己肯定感を持つことが必要です。保育士さんは、子どもだけでなく親御さんのがんばりも認め、ちょっとしたことでもほめるといいですね。すると親御さんも気持ちに余裕ができて、子どもをほめるようになります。それが子どもの自己肯定感を育むことにつながっていくのです。
親御さんの自己肯定感については、こちらの記事https://hoiku.fine.me/contents/3803/にも紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

今回でこのシリーズは終了です。
お読みいただきありがとうございました。

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